福岡市都市景観賞は、福岡のまちの魅力を創りだしている建物や通り、企画や活動に関係している人たちの努力を讃え、広く市民に伝えることを目的として創設された賞であり、市民の推薦・応募に基づき審査します。今年は、809件の応募があり、ランドスケープ、建築、広告、活動の四部門を設けて審査を行いました。

「水上公園 SHIP’S GARDEN」は、長年にわたって市民に親しまれた空間の記憶を継承しつつ、新たな場づくりに挑戦した公園であり、回遊できる動線を確保して地上から屋上までを繋ぎ、人々が自由に休憩できるよう配慮するとともに、周囲から「見られる」ことを意識した開放的な施設づくりに努め、福岡の新しい顔を実現しています。委員全員の一致した高い評価を得て、大賞を贈ることとなりました。

ランドスケープ部門では、「九州産業大学キャンパス」を部門賞として選定しました。キャンパスの建築群を繋ぐオープンスペースの修景であり、斜面の地形を活かして階段状の単位空間が重なって連続し、学生の多様な活動、休憩や交流を誘発する広場を構成しています。

建築部門では、「なみきスクエア」を部門賞として選定しました。室内の単位空間がエントランスホールの空間と「見る-見られる」関係を有し、開放性の高い構造形式と輻射冷暖房を採用しており、建築の内から外部空間へと自然に繋がっています。基本的機能を押さえつつ、複合文化施設が有すべき安心感と緊張感を備えた秀逸な建築空間を実現しています。

広告部門では、「エコ・ミュゼ はかた博物館」を部門賞として選定しました。どこにでもあるような電柱巻き広告に書かれている内容が広告という概念を超え、地域社会に密着し、博多の歴史や文化を後世に伝え、社会性のある広告となっており、今後の展開が期待されます。

活動部門では、「博多ライトアップウォーク」を部門賞として選定しました。ライトアップされた博多の美しさ、歴史文化の価値を気付かせるこの活動は、関係者が創意工夫を重ねて継続しており、博多の町の魅力を大いに引き出すイベントとして定着しています。

この他にも、数々の力作の応募があり、委員全員の1回目の採点に基づいて選定した候補24件を委員全員で見て回りました。その直後に開催した最終審査委員会で、2回目の採点後に、全委員の意見を出し合って議論し、必要に応じて委員が採点を修正したうえで、全員一致による結論を得たものです。それぞれの専門性を尊重しつつ、多角的かつ公正な審査を行うことができたと思います。

今後も、福岡の都市景観に寄与する素晴らしい建築、ランドスケープ、屋外広告、活動が数多く生まれることで、都市が発展することを願っています。

2017.03.05
福岡市都市景観賞審査委員会委員長
九州大学教授 坂井猛