福岡のまちの魅力を創りだしている建物や通り、企画や活動に関係している人たちの努力を讃え、広く市民に伝えることを目的として創設された福岡市都市景観賞は、ランドスケープ、建築,広告、活動の四部門を設け、市民の推薦・応募に基づき審査を行っています。

 「警固公園」は、見通しをよくして治安の改善を図るなど、機能上の課題を克服し、人の通過動線を妨げない巧みなランドスケープデザインによって、人の集う広場の復権を果たしています。委員全員の一致した高い評価を得て、大賞を贈ることとなりました。

 ランドスケープ部門では、地域住民の協力によって歴史的文化財の多く残る寺社町エリアのウエルカムゲートとして整備された「博多千年門周囲の景観(承天寺通り)」を部門賞として選定しました。このほかに、都市の風物詩となっている「舞鶴公園お堀の蓮」と「春の舞鶴公園(お花見風景)」、周辺住民のウォーキングや散策道となり、開放的な海辺の景観が楽しめる「あいたか橋」が高い評価を得ました。

 建築部門では、「キッチンハウス福岡ショールーム」を部門賞として選定しました。緑豊かな景観の中に、緩やかな曲線を描いてオブジェのように建ち、緻密にデザインされている点が特に高く評価されました。審査ではこのほかに、温かみを感じさせ、病気に立ち向かう親子への気配りに溢れた「福岡市立こども病院」、建物を高密化させながらも統一感のある柔らかい表情を作っている「福岡市立舞鶴小・中学校」、純粋な形態で力強い空間を持つ「椎木講堂」、隠れ家風の巧みな店舗空間を有する「IMD SQUARE」が高い評価を得ました。

 広告部門では、「博多駅前一丁目市街地住宅の壁面広告」を部門賞として選定しました。コンクリート壁をそのまま活かした引き算型のデザインによって景観をつくりだしている点が特に高く評価されました。審査ではこのほかに、日常的な事物によって街の景観を非日常へと転換し得ることを数カ所の展示で示した「第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014」、2,706灯のフルカラーLEDでリニューアルされた「福岡タワーのイルミネーション」、水と洗剤を結びつけた「天神かっぱの泉×シャボン玉石けん」が高い評価を得ました。

 活動部門では、「デザイニング展」を部門賞として選定しました。新しい街の使い方や楽しみ方を積極的に企画して人々の生活に喜びや発見を与えている点が特に高く評価されました。審査ではこのほかに、市民ボランティアを中心として二十年継続している「博多湾沿岸における松林の整備・保全活動」、公募形式により新たな景観創出を行った「まちづくり・夢アイデア実現化活動」、こども達の育成と地域住民の交流に貢献している「フラワーアップスクール」、街の豊かさや,景観の重要性への意識を高めている「福岡近現代建築ツアー」、自然に学び合える場をつくりだした「かなたけの里の米作り」、啓発イベントとして大濠公園を人の輪で囲む「TEAM ZERO FUKUOKA」、商店街に必須の存在となっている「西新商店街リアカー部隊」が高い評価を得ました。

 審査委員会は様々な分野の専門家によって構成されており、それぞれの専門性を尊重しつつ、多角的に検討を行うことができたと思います。異なる意見も多く出されましたが、ディスカッションした上で、場合によっては多数決をとるなど、公平性に務めました。これからも、福岡の都市景観に寄与する素晴らしい建築、ランドスケープ、屋外広告、活動が数多く生まれることで、都市が発展することを願ってやみません。


2015.03.22
福岡市都市景観賞審査委員会委員長
九州大学教授 坂井猛