2017.11.20 マチ#タグ 
#06 ミラノ入口コレクション

「軒先」からはじまって「仮設」「外呑み」「商店街の人々」「現代建築の景観」と、街のボキャブラリーのひとつひとつに焦点をあててきたマチ#タグもいよいよ最終回。六つ目のマチ#タグは、「建物の入口」です。
建物には必ず入口がついていますが、その中から同じ種類だけどちょっと違うものを集めてきました。

 

#ミラノの街並み #黄色いトラム #鉄道萌 #その向こうには中庭 #クラシカルなファサード #入ってみたい!

収集した街はイタリアのミラノ。
イタリアでは中庭を囲むロの字型の建築で街区をつくり、公私を上手に切り分けています。
なかでも旧市街では「パラッツォ」と呼ばれる貴族や豪商の住んでいた建物が、街並みを形成しており、

 

#ミラノの街並み #濃いグレーのトラム #鉄道萌 #パラッツォ #クラシカルなファサード #入ってみたい!!

現在それらは1階を店舗として、上層階は集合住宅やオフィス、ホテルとして利用されています。

 

#入口マニア #アーチ型 #リベット付き両開き扉 #青い自転車 #クラシカルなファサード #ミラノ

また、このパラッツォには大きなメインエントランス(入口)がついており、いかつい扉が閉じていると中の様子は全くわかりません。

 

#入口マニア #美しいアプローチ #ヴォールトの天井 #柱廊に吊るされた照明 #中庭が見えてきた #ミラノ

しかし、ひとたび扉を開けると魅力的なアプローチが表れて、天井がかなり高いけれどここちよいトンネル感。さらに暗がりを抜けた先には…

 

#開放的な中庭 #幾何学式庭園 #窓辺にも植木鉢 #ステンドグラスの照明だった #ミラノ

手入れされた植栽と鮮やかなタイルの中庭が来訪者を迎えてくれます。ここはそれほど広くはありませんでしたが、幾何学的に刈り込まれた木々がなんともイタリア的で解放感に満ちていました。

 

#入口マニア #門型 #アールヌーボー調の扉 #曇りガラスで中庭チラ見せ #脇のカフェも気になる #ミラノ

街を歩いていると、このようにパラッツォの入口から街並みとは一味違う中庭を垣間見ることができます。中庭の美しさもさることながら、入口もなかなかどうして魅力的な空間ではありませんか。

 

#入口マニア #門型 #アプローチにはアーチ #正面に柱廊 #アールデコっぽい鉄柵 #ミラノ

異邦人としては奥の中庭まで進むことははばかられますが、入口だけなら道から自由に鑑賞可能。ということではじめます!

名付けて「ミラノ入口コレクション」。

 

#入口マニア #アプローチは門型 #ピンクの外壁 #柱廊 #奥にもう一つ中庭 #アールデコっぽい鉄柵 #ミラノ

まずは壁のピンクが反射して、鮮やかな中庭の入口から。
そのピンクを背景に鉄柵のシルエットが映えており、通りすがりに目を奪われました。

 

#入口マニア #アーチ型 #アプローチは門型 #黄色の外壁 #中庭は駐車場 #ミラノ

つぎは黄色い壁とさし色に緑がのびる入口。
イタリアの空気や太陽だと、派手な色彩でも嫌味にならないのが不思議です。

 

#入口マニア #アーチ型 #ガラスの垂れ壁が照明を和らげる #大きな木 #黄昏時の中庭 #ミラノ

これは黄昏時に発見した入口で、柱廊の照明が点灯しています。
アーチの上部に曇りガラスがはめ込まれていて、間接的に照らす演出は情緒があります。

 

#入口マニア #門型 #柱廊はアーチ型 #レリーフのような蔦 #ゴージャスな中庭 #黄昏時の中庭 #ミラノ

こちらの柱廊はアーチのリズムに合わせて蔦を這わせています。
許可を得て中に入ると、大小の中庭が連綿とつづく贅沢な空間でした。

 

#入口マニア #連続する門型 #連続する中庭 #外壁緑化 #レストランや店舗が並ぶ #ミラノ

ここも中庭が連続するタイプなのですが、通りに直行した配置となっており、もう一つの中庭まで視線が抜けています。加えて壁面を緑化しているため、一点透視に伸びる緑が鮮やかで吸い込まれるように入ってしまいました。

 

#入口マニア #アーチ型 #シンメトリーで端正な中庭 #駐車場として利用 #ヴォールトの柱廊 #ミラノ

こんなストイックな入口と中庭もありました。アプローチ両脇の扉、鉄扉の紋様、柱頭の装飾とシンメトリーになっており端正な出で立ちです。ちょっともったいないなぁと思ったのが、中庭が駐車スペースとして利用されている模様。しかしこれもまた、古い建築を現代に活かすための積極的な読替えと言えます。

 

#入口マニア #門型 #街をトリミング #対面の扉と雨戸の配色がキレイ #難易度の高い縦列駐車 #ミラノ

こんどは建物の出口として、アプローチから街並みを見てみましょう。
メインエントランスが額縁効果を発揮して、街なみを切り取っているのが分かります。
対面にある建物の配色が決まっていてかっこいい、映画のワンシーンの様です。

 

#入口マニア #門型 #街をトリミング #装飾の美しいガラス扉 #黄昏時の街並み #ミラノ

また、たたずんでいると歩く人々の声や車の音など、扉越しに街の活気が聞こえてきます。
そう考えるとアプローチ両面の風景は対照的で、静寂な中庭と喧騒の街路をつなぐ役割を果たしています。住人が心を切り替える場所でもあるようです。

 

#入口マニア #アーチ型 #街をトリミング #対面にも入口 #向こうの入口も気になる #ミラノ

ここの入口はなんと、道路対面の建物の入口と向かい合っています。公共の道路に直行してもう一本、私用の通路があるような感覚。公私の道が交差して街に奥行ができています。

このように「建物の入口」というボキャブラリーでミラノを歩いてみると、門型やアーチ型、鉄柵の紋様やガラス扉、照明や柱廊、そして中庭やタイルパターンなど、それらが少しずつ異なっており、歩けば歩くほど多くの発見がありました。

対して日本の建物の入口はどうでしょう。
もちろん日本にも大好きな入口がありまして。

 

#入口マニア #長屋門 #伝統的な木造建築 #まっすぐ伸びる瓦屋根 #千葉

それは長屋門です。
長屋門とは、古くは諸大名が家臣を住まわせる長屋の一部に門を開いたもので、後にその形式は庄屋などの名士や旧家でもつくられており、日本各地で見ることができます。母屋の前にずっしりと横たわる長屋門は、パラッツォの入口と同様に内外を仕切って空気の質を変えています。田園地帯に点在する長屋門のある風景は、未来に残したい日本の風景です。

 

#入口マニア #長屋門 #伝統的な木造建築 #田園風景 #里帰りの一枚 #千葉

街歩きで見かけるものの写真を集めてみると、それらはその街特有の現象だったり、地域に住む人たちの文化的象徴だったり、いつしかの流行の名残であったりと、色んな発見があります。そんな発見がかくされているかと思うと、初めて訪れる街の風景を好奇心なしでは見ることはできません。くたびれるまでキョロキョロとしながらウロウロします。

ということは、自分が住む街の当たり前な風景にも、異邦人にとっては珍しいボキャブラリーが隠されているということになり。想像をふくらませると、福岡にも異郷の誰かが興奮する風景があるかもしれないわけで…、それってどんなマチ#タグになるのでしょうか。

 

マチ#タグは、八人力の面々が持つ様々な視点と、そこから見えてくる街並みの豊さが伝わればと考えたテーマでした。
私たちはそれぞれ生きてきた経験と得られた知識で、同じ場所に居ても見えている風景は異なります。関心があるものははっきりと見え、ないものはかすんで見える、そういう意味で写真とはその人の眼で見たものしか写らない心象媒体です。

もし、見慣れた街やはじめての街で魅力的な写真が撮れたとしたら、それは自分の好奇心をくすぐるマチ#タグがその街並みに隠されていたからかもしれません。

 

小林哲治




八人力


主に建築設計に従事する15名が集まった集団。
「まちから退屈をぶっとばせ!!」をミッションに、日々活動中。
http://8ninriki.jp