2017.10.23 マチ#タグ 
#05 景観と向き合おう

 

よい景観と言いますと、みなさまはどういった景観を思い浮かべますか。

 

私の場合すぐに京都に代表される古い街並みや建物、田舎の風景、大自然・・・などなど、
そんな景色が頭をよぎります。
そのよぎった景観を横並びにして考えていきますと、よい景観には切っても切りきれないテーマとして
「歴史や過去の記憶」が関わってくることが多いように思います。
では、少なからず新しいものを作り続けていかなといけない私たちは、
良い景観をつくるために歴史とどう向き合ってつくっていけば良いのか?

職業柄そんな事を悶々と考えています建築マニアな私に、それを紐解く旅のチャンスがやってまいりました。
日頃お世話になっています先輩方とヨーロッパの建築を見て回る事になったのです。

そして旅のスケジュールをみてみますと、イタリアやスペインという
どこへ行っても歴史的な景観の街で、ほぼ現代建築だけをみてまわる、なかなかマニアックな旅となっていたのです。
これは占めた!これこそ歴史的なものと新しいものとの向き合い方が紐解けるのではないか!!

 

という訳で、長い前置きになってしまいしたが、今回は歴史的な街にある新しいものにタグづけして、それがよい景観なのか?を考えていきたいと思います。

 

 

さて、いきなりカウンターパンチを食らわされます。
ここはローマなのか!?と思わざる負えないコンクリートがウネウネと流動する建築があらわれました。

#イタリア #ローマ #ザハ・ハディット #イタリア国立美術館 #MAXXI #コンクリート #ウネウネ #流動的 #カウンターパンチ

日本でもお馴染みのザハ・ハディッドさんが設計して2010年にオープンしたイタリア国立美術館、通称MAXXIでございます。
ローマの市街からは少し離れた場所にあり、その巨大な建築は敷地にやってこないと全体像を感じる事ができません。

 

#イタリア #ローマ #ザハ・ハディット #イタリア国立美術館 #MAXXI #寄生 #突き刺さる #ここが入り口であってるの?

既存の建物に刺さる様に美術館のボリュームが取り付いています。増築?
歴史的なものに新しいものが寄生している感じがします。
建築マニアな私はこの流動するコンクリートの塊に感動と力を感じ、美しく感じました。

では、これはよい景観なのか?いきなり難題です。
歴史に寄生するという向き合い方とでも言いましょうか。
でも悪い気がしない。建築の力が景観をつくるという事なのだろうか?
日本に今は亡きザハさんの建築ができなかった事が残念でなりません。

 

ローマはMAXXIだけが目的だったので足早にミラノ南部のラルゴ・イザルコにある「プラダ財団美術館」向かいます。

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レム・コールハースさん率いるOMAによる設計で1910年代に建てられた蒸留所を増改築、コンバーションして作られています。
奥のひょっこり白い塔のような建物は現在も建設中です。

#イタリア #ミラノ #プラダ財団美術館 #レム・コールハース #OMA #蒸留所 #コンバーション #ステンレス鏡のよう #歴史を映し出す

先ほどのカウンターパンチとは打って変わり、建物の保存を考えながら新しい建築を共存させる様に入れ込んでいったイメージ。
今回は歴史と共存しながら相互に刺激しあう向き合い方をしているようです。

 

#イタリア #ミラノ #プラダ財団美術館 #レム・コールハース #OMA #蒸留所#コンバーション #金ピカ #ペンキ?金箔? #アルミの不思議な外壁

でも、金ピカです。ペンキ?金箔?美しい?
さて、これはよい景観なのか???

 

この後、ヴィチェンツァで歴史的な街並みと初の職業建築家と言われている、アンドレーア・パッラーディオさんの建築を堪能し、ヴェローナのカステルヴェッキオ美術館へ。

 

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1964年カルロ・スカルパさんが設計した美術館で、カステルはお城、ヴェッキオは古いという意味を示していますので、
古いお城の美術館という事になります。

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見ての通り、お城の外観はほとんどそのままで、スカルパさんの職人技とも言える設計能力で、工芸品ともいえるコンバーションを実現しています。

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内部は建築マニアにとっては見ただけでよだれが出てくる様な美しいディテールがてんこ盛りでございます。
歴史に寄り添い芸術化したでも言いますか、正統派ともいえる歴史との向き合い方ではないでしょうか。
歴史との関係によってよい景観が形成されると仮定すると、よい景観と言わざる得ません。

 

そろそろスペインに移動です。
お次はマドリッドのプラダ大通りあるカイシャフォルム・マドリードという展示室、ホール、メディアライブラリーなどからなる複合施設で、
ヘルツォーク&ド・ムーロンさん設計で2008年にオープンしました。

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2001年にスペインの大手銀行カイシャが旧発電所を買い取って建築したのですが、当時は廃墟と化していて街から孤立していたようです。
この建物は新たなスポットとなりこの場所に活気を取り戻します。
昔の外壁をそのまま残したリノベーション?・・・なんと浮いています。

#スペイン#マドリッド#カイシャフォルム・マドリード#ヘルツォーク&ド・ムーロン#発電所#複合施設#浮いている#アクロバティック #方持ち限界

アクロバティックに浮いています。
古い外壁をそのまま残した継子のアクロバティックは不可能ですので、新築としか考えるしかなさそうです。
そうですこの外壁は再現なのです。最新の建築に歴史をそのまま貼り付けちゃったとでも言いましょうか、
再現という方法で歴史と向き合っています。
この浮遊感、少しスリリングに景観を保つ、新しい試み。
力技のアクロバティック建築、よい景観とかもう通り越して、みんなに驚きと楽しみを与えているようです。

 

さて、この旅も終盤が近づいてまいりました。
バルセロナへ突入・・・といきたいところですが、ここでは飛ばしましてクライマックスのビルバオへ。
ガウディを飛ばすとは何事だ!と怒られそうですが、今回の趣旨とちょっとずれてくるのであしからず。

バスク地方のビルバオ市の中心部、歴史的な街並みの中、ある十字路を曲がるとその建築は突然現れます。
衝撃と感動が同時に襲いかかり、私がその場に立ち尽くしたのは言うまでもありません。
もちろんその建築を見るためにその街を訪れたのだから、そこに在るのはわかっていたはずでした。
今回の旅の中で学んできた歴史との向き合い方が総崩れする瞬間です。

 

#スペイン #ビルバオ #ビルバオ・グッケンハイム美術館 #フランク・ゲーリー #突然あらわる #衝撃 #ガウディーとばしてごめんなさい

ビルバオ・グッケンハイム美術館は1997年フランク・ゲーリーさんの設計により完成した現代美術館で、
このただ一つの建築は街の景色に留まらず、その街の方向性をさえも変えたと言っても過言ではなく、
街は観光客で活気を取り戻し、それにともない地域全体の整備も進んでいったのです。
何よりグッケンハイイムはバスクの象徴となり、都市のイメージを一新していくという一つの建築のもつ力の計り知れなさを世に示しました。

 

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最後の最後でやってしまいました。
この景観はよい景観なのでしょうか?

#スペイン #ビルバオ #ビルバオ・グッケンハイム美術館 #フランク・ゲーリー #シルバー #経年変化 #チタン #福岡ドームの屋根材

伝統的な街並みに突如現れるシルバーの流動的な建築。
寄生も、共存も、寄り添いも、再現もしていない、歴史と向き合っているとは思えない様な?・・・
でも不思議なのですが、私には美しく、よい景観にみえて仕方がないのです。
歴史や景観を大切に考えるヨーロッパの地で、
この建築が生まれた事実は景観を考える上でとても重要な事をわたしたちに教えてくれている様に思えます。

 

この旅で色々な、歴史と新しく創造される建築の向き合い方があることがわかってきたように感じました。
そう、向き合って、向き合っているものと向き合って、考えて、考えてよい景観は生まれていくのです。
みなさんも旅行にいくとき、こんな視点でよい景観と向き合って感じてみてはいかがでしょうか。
向き合うことで景観を楽しむ発見がきっとたくさんあるはずです。

そうだ!ビルバオ・グッケンハイム美術館の外壁のチタンが美しく経年変化していった頃、
その答えを再確認するために再びこの地を訪れよう。

 

新田崇博




八人力


主に建築設計に従事する15名が集まった集団。
「まちから退屈をぶっとばせ!!」をミッションに、日々活動中。
http://8ninriki.jp