2015.5.11 FUBA INTERVIEW 

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広報や情報発信は、評価にもつながりやすい
−前回の25回から「活動」という分野が設けられました。プレイヤーを表彰しようという意図もあったわけでしょうか。

「そうです。都市を使い込んでいく、あるいは都市を活かしていくための大事な取組み、活動を表彰しようというものです。」

−審査に関しては、活動の分野が前回入って来たこともありますが、ハードもありソフトもありで、幅広くなったと思うのですが。

「そうですね。どんどん広がっていますね。審査も大変です。でも、審査委員会には、いろんな視点をお持ちの専門家がいらっしゃるので、『こういう見方があるんだ』って毎回楽しみにしています。

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近現代建築ツアーの様子

建物やランドスケープの審査は、目に見えてくるものを一定の基準に照らして、ある程度評価することが可能ですが、「活動」は、内容を知らないと評価ができません。深く読み込んで行くと、面白いものもありますが、数多くの物件のすべてを同じように時間をかけて評価することは大変な労力を要します。ホームページや印刷物で、どれだけ発信されているかは重要であり、評価にも影響します。今回の審査で注目したものがいくつかありました。福岡の建築を紹介する近現代建築ツアーや、デジタルマップの取組みなど、今まではやられていなかったこととして目立っていましたね。
広告でも、どういうものが良いのか、どのようなことをやってはいけないのかを、認識していない人がまだまだ多い。建築、ランドスケープも同様ですが、一定の水準をわかることのできる市民がの中にもどんどん増えて欲しい。そのために、表彰の役割もあると思うんです。」

良いといわれるものを知って、見に行って、感じて、忘れない
−それでは最後に、坂井委員長から福岡市都市景観賞を通して市民に伝えたいメッセージをお願いいたします。

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インタビューに答える坂井教授

「これまでの都市景観賞には、審査委員会によって“良い”と判断されたものが揃っているわけです。26回分がリストアップされています。それらの作品は、市内の歩いて行ける場所にあります。皆様には、そこに実際に行って見ていただきたい。そのための賞だと思います。自分でそこに行って、見て、感じて、本当に良いと思ったら、その体験を覚えてほしい。そして、ご自宅や、建物を建てる時に、その経験を役立てていただきたい。隣に建物が建つ時には、コメントできるようになっていただきたい。あるいは、まちの活動をはじめるきっかけになってほしいと思います。

最近では、テレビ番組でもとりあげられるようになりましたので、以前よりも都市や建築の見方が知られるようになったと思います。しかしながら、目を覆うような建物や広告は無くなってはいない。まだまだですね。私たちもまだまだ頑張らなければなりませんね。

九州大学では、低学年向けに「伊都キャンパスを科学する」という定員250人の、本学の新入生の約1割が受講する総合科目を開講しています。環境、デザイン、土木、建築、歴史、農学などの教員がリレーで授業をして、新しく広大なキャンパスをつくるときに何が課題だったのか、それをどう解決したのかを伝える授業です。そのうち、都市・建築は私の担当です。

受講している学生の専門は様々です。医者や弁護士を目指す人もいれば、自分で会社を持つ人もでてきるでしょう。彼らは、20年後か30年後に、自分の会社や病院の建物を建てるようになる、そうでなくても、自宅を建てるか購入する。さらに、自宅の隣に、景観上おかしな建物が建つ事態に遭遇するかもしれない。そうした将来の事態に備えて今から少しずつ勉強しておきましょう、と呼びかけています。「伊都キャンパスを科学する」の私の回では、キャンパス空間づくりに関する経験談と一緒に、コーディルの『建築鑑賞入門』(※4)を現代版に焼き直して、わかりやすく紹介しています。

『良いといわれているものが世の中にはたくさんあります。書店には建築雑誌や、ガイドブックとして売っていますし、一部はネットにもでています。他都市や外国に旅行に遊びに出るときに、事前に建築や都市のことを調べて行って見る癖をつけませんか。観光地になっているところもあれば、一般には知られていないものもあります。自分で見に行って、空間を感じてみる。もし、良い、気持ちいい、感動する、と思ったら、何故良いのかを考える。ついでに、つくられた年代や、建築家の名前を覚えておくと、本の著者を覚えるのと同じように皆さんの教養になります。』と言っています。古物商で丁稚が師匠から、『これいいぞ、見とけ』と言われて見ているうちに目が肥えて、古物商として一人前に育つのと同じですね。

将来、彼らが社会で活躍するようになったときには、建築、都市、環境、景観が好きで、見識をもった人々が社会にもっと増え、今よりもさらに快適で、活動しやすく、住み良い都市になっていくことを夢見ています。」

※4 『建築鑑賞入門』W.W.コーディル、W.M.ペニヤ、P.ケノン共著。1979年発行。建築家の六鹿正治が翻訳した。

坂井教授プロフィール
九州大学新キャンパス計画推進室 教授・副室長/九州大学人間環境学府 教授/九州大学工学部 建築学科 教授
専門分野: 都市計画、都市設計、景観設計、公共空間計画、キャンパス計画
詳細情報は http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001325/



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