2015.5.3 FUBA INTERVIEW 

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景観という舞台を生かす演者は市民。
−これからの都市景観賞は、まちの景観を良くする象徴的な物件に賞を差し上げて、広げて行こう、守って行こう、というメッセージを出しているのですね。
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警固公園

「はい、メッセージのひとつはそれだと思います。今回、大賞に選ばれた警固公園は、都市を形成する重要な部分であり、こういうものが周りとの関係を考えながらひとつひとつできていかないと良くならない。配置や骨格の構成も大事ですけど、ひとつひとつがしっかりつくられていかないと、良い景観にはなっていかない。都市全体の景観を考えずに、自分たちが良いと思うものを好き勝手につくってもいいものにはならない。周辺との関係がうまくいっているか、そして、それぞれがしっかりできているか、その双方が大事ではないかと思います。」

−周辺との関係は、調和がとれているかという項目として、景観賞の審査基準にも入っていますよね。

「そうですね。周辺との調和がいかにとれているか。与えられた敷地の中だけで計画するのではなく、土地をどう読み込んだかが問われます。建物は街の中に形として長い間残っていくものですから、それをつくる人は社会的な責任を持っています。」

−都市の骨格は大事ですが、いかに市民レベルにまで広げて行くかというところまでいかなければ、やはり全体には…

「もちろんです。木に例えると幹にあたる都市の計画があり、枝にあたる各地区、各街区の計画がある。そして、その先に葉っぱにあたる建築やそのディテールがあり、それらが一つになって木が立派に見える。根元の計画からしっかりとつくり込んでいき、それぞれの役割を果たす事が大事ですよね。
地図の世界から、建築やランドスケープの原寸のスケールまで、繋いで考えることが必要ですし、それが本来の姿だと思っています。」

−今回の26回目の都市景観賞では、市民賞、投票など市民の参加を進めていますが。
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第26回福岡市都市景観賞 展覧会の様子

「建築は使われてこそ価値のあるものなので、美しいものを建てて終わりではなく、それからがスタートです。それを使いこんでくれるプレイヤーがどれだけいらっしゃるかということが、都市を良いものにしていくポイントです。あくまでも景観づくりというのはベースでしかない。舞台づくりなのです。舞台の上に演者がいて、演者がどれだけいきいきと楽しんでまちを使い込んでいるかということが一番のポイントです。ですから、演者である市民の目線から考えることがとても重要だと思います。今回の『市民賞』は、その視点が活かされていて良いと思います。良いと感じたものに投票するというのは、専門知識が無くてもやれることです。その結果として、何が選ばれたのかを知っていただく。良いことをやっていると思ったら、それを広く知っていただく必要があります。

人が集まる場所がどう見えるか/何が見えるか
−景観を見る視点というのは、市民に分かりやすく言うとどんな要素でしょうか。

「一般的に言えば、広場、駅のターミナル、バス停など、人が大勢集まる場所から何がどのように見えるか。人がたくさん集まる所、そこから見える景観をきちんとマークしておかなければならないと思いますね。さらには、山の頂上や、観光名所などもあります。それから、ドライブコース、サイクリングコースから見える連続する景観(シークエンス)もありますね。
逆に設計する立場では、そうした視点場から見ると建築がどのように見えるのかを考えます。」

−その視点を持ったバランスが、関係が大切だと。

「建築の設計者は、内部の機能や構造を考えるだけでなく、自分の設計した建築が周辺からどう見えるかを常に頭に思い描いています。内部を考え、周辺との関係を考え、案をつくっては壊し、つくっては壊しを繰り返しているのです。『見る・見られる』という関係は大事にしないといけない。中から周辺の景観をどのように切り取って見るのか、逆に周辺からどう見えるか、それが周りからどう見えるか。隣の空間とどう接しているか。スカイライン、つまり空との繋がりはどうか、いろんな関係がありますね。

そういう意味では、今回の大賞を獲った警固公園は、一番メッセージが伝わり易いケースでしょうね。マンションに囲まれて俯瞰で見られない公園が多い中で、周りから見渡す場所がちゃんと用意されており、周辺との関係が一目瞭然ですからね。」

坂井教授プロフィール
九州大学新キャンパス計画推進室 教授・副室長/九州大学人間環境学府 教授/九州大学工学部 建築学科 教授
専門分野: 都市計画、都市設計、景観設計、公共空間計画、キャンパス計画
詳細情報は http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001325/



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フクオカをぐるっと360°捉え直すことを目的としたこの「サンビャクロクジュウド」という名のデザインチームは、NPOと公益社団法人と株式会社の3社が組んだちょっと変わったユニットです。
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