2017.2.10 FUBA レポート 
「第27回福岡市都市景観賞」審査レポート

 

今回で27回目となる「福岡市都市景観賞」の審査が、2月2日(木)に開かれました。雲ひとつない冬晴れ、一次審査を通過した24点のうち、15点について現地を見て回り、審査を行いました。

 

長い長〜い一日の始まり、まずは、建築部門「AUTHENTIC LIVING BUTCHER NYC(オーセンティックリビング ブッチャー エヌワイシー)」。閑静な住宅地の中に佇む木造平屋建ての家屋を改修しています。“古い家屋を壊すことなく、かつ単に古民家という受身の価値ではない新たな価値を吹き込こむ”、という考えのもと、周辺の景観に配慮して設けられた一枚の壁が特徴的です。ご協力により、内部空間も見せていただきました。

飲食店の存在を消すように設けられた壁

 

内部空間と外部空間と繋げる場

 

次に訪れたのは、ランドスケープ部門「大濠公園」と建築部門「ボートハウス大濠パーク」です。

「ボートハウス大濠パーク」は“自然と共存し公園を楽しむ”ことを目指した水辺のレストランの再生です。既存樹を残しつつ一枚の水平の庇を加えて新たな水景を創り出した“樹に寄り添う建築”であり、その素材などにより、時間とともに建築が“自然に溶け込む作りこみ”となっています。車いす利用者や犬連れの人々など、あらゆる人が自由に楽しめるように配慮されています。このままお茶しながらぼんやりしたい、なんてことは思っていません 笑。

公園の緑が映える建物

 

水辺の光が水平の庇を穏やかに照らします

 

観月橋より。夜は建物の灯りが水面に写り込みます

 

「大濠公園」、長い間市内外の人に愛されている公園ですが、単体の公園としての受賞がないことに、審査委員の方々も驚きです。この日もランニングや散歩をしている方がたくさん訪れていました。

走ったり、散歩したり、審査したり 笑。

 

観月橋から浮見堂

 

次は、ランドスケープ部門「福岡市立こども病院」。前回は建築部門で一次審査を通過しつつ、惜しくも受賞ならず。“オープンなこども病院”を目指し、1Fは地域の人々も気軽に利用できる公園のようです。子どもたちの豊かな想像力を喚起させる抽象的なデザインのベンチやパーゴラを用いるなど、ランドスケープも子ども目線で作られています。リハビリとしての利用も考えられていると担当者から説明していただきました。

「花」のサークルベンチで休憩、いや、審査中

 

「すじ雲」のパーゴラ。園路沿いにはリハビリ用にかわいい歩行距離表示も。(写真右下付近)

 

屋上庭園(ヘリコプターが来るということで、残念ながら室内から)

次は、ランドスケープ部門「九産大学 キャンパス・ランドスケープ」。“九産大らしさ、九産大ならでは”を重視し、本来ある豊かな自然を活かした、学生たちの賑わいが満ちたランドスケープとなっています。学生・教職員だけでなく、地域の方にとっても憩いの場になっているようです。

高低差を利用したグラフィカルな“棚田”とイベントステージ
広場横の陽だまりでは、学生たちが賑やかに少し早めのお弁当を広げていました

 

せせらぎには四季折々の植物や生きものたち

 

大きい!そして、丸い!!

 

学生たちが実習で休憩施設を作っていました、さすがです

 

次にやってきたのは、建築部門「香椎副都心公共施設(なみきスクエア)」。様々な機能を持つ複合施設です。並木広場側は吹き抜けの大空間で、ガラスを多く用いて開放感があり、周囲への緑や屋上緑化により、隣接する並木広場との一体感もあります。

並木広場側からエントランス

 

大きな吹き抜けには座り心地のいい椅子がオブジェのように置かれていました

 

建物周囲や屋上にたくさんの樹木、季節感があります

 

次は、午前中最後の現地審査、広告部門「エコ・ミュゼ はかた博物館 電柱歴史案内2000年本プロジェクト」。歩いた時に見かける電柱捲き看板。そこに、“博多2,000年の歴史に因んだ歴史案内看板を2000本付ける”ことを目標にしています。見つけると思わず読み込んでしまう、“入場無料の「エコ・ミュゼ はかた博物館」”は、当初の旧博多部を越え、福岡都市圏へと広がりを見せているそうです。

博多小前は無電中化のため、小学校の建物に貼ってありました

 

電柱の両側にも、通りを挟んだ電柱にも歴史あり!

 

広告部門「西日本鉄道のラッピングバス及びラッピング電車」も移動途中でチェックです。現在は年間70件ほどが市内街中を走っているそうです。

フルラッピングバス、真っ青!!

 

さてさて、午後の部、まだまだ半分残っていますが、たっぷり美味しいお昼ごはんも食べたので、ハリキッていきましょう!

 

午後の部、まずは建築部門「KITTE博多」、広告部門「エンジェルポスト」です。

「KITTE博多」の前にある「エンジェルポスト」、オブジェかと思いきや本物のポスト!古来の交流交易の中心である博多の地に作られた“思いが届くポスト”。ポストの上のエンジェルは、“心を込めて書いた手紙、その思いがきちんと相手に届くようにと見守っている”そうです。ちいさな子どもたち用の投函口も、エンジェルが見守っています。

初めて見たときは、オブジェだと勘違い 笑。

 

小さな子どもたちの思いも見守ります!届けます!

 

「KITTE博多」は駅前の新たなランドマーク施設の一つとして、周囲の建物と調和しています。駅前広場と一体となったコーナーは旧博多郵便局の北西塔屋の記憶を継承するようなデザインです。貫通通路によって新しい人の流れも作っています。

大きいので、全体を確認しに道路の反対側へ

 

“駅から165歩、166歩、167歩”、、、気づきましたか?

 

次は、建築部門「どろんこ保育園」。子どもたちがお昼寝中なので、こっそり外から見学。地上から屋上広場まで連続して子どもたちが遊べるデザインになっています。テラスや屋上にも緑がたくさん、桜の時期には屋上のシンボルツリーがピンク色に。“建物全体が立体的な公園のよう”で、子どもたちの遊びが無限大に広がりそうです。

子どもたちと一緒にお昼寝したくなります

 

ランダムに配置された遊び心のある窓とシンボリックな“ど”

次は、ぐっと大人な空間、建築部門「料亭嵯峨野」。かつて博多花柳界を彩っていた地に料亭が生まれ変わり、失われつつある日本文化をこの地に受け継ぎます。対岸から臨むとしっとりと馴染む建物。大広間を案内していただきました。舞台に設えた襖は以前のものを洗って使っており、年月を経た風合いが新しい建物にもしっくりと馴染んでいました。大きな梁は、“歩幅で測ってみたら御所のよりも大きいのよ 笑。”笑顔の素敵な女将さんでした。

次はぜひお食事で!

 

瓦の一つ一つに「嵯峨野」、設計者の方の粋なはからいで生まれたそうです

 

次はランドスケープ部門「清川ロータリー」。住民主体のワークショップ等を経て存続が決まり再整備された、市内では珍しいロータリーです。かつて井戸があった歴史、地域の資源を象徴するように、中心部は御影石によるモニュメントとなっています。

 

井戸のイメージ

 

次に訪れたのは、ランドスケープ部門「水上公園」。大正13年に開園した本市初の街区公園は、少し前までは、ひっそりとまるで都心部の賑わいから取り残されたような空間でしたが、官民が一体となって再整備した結果、都市部の水辺をより魅力的に、よりたくさんの人で賑わう公園に生まれ変わりました。“天神ビックバン 東のゲート”でもあり、市内外の人が注目する、憩いと賑わいの場となっています。

お散歩途中のワンちゃんもまったり

 

水上の丘をイメージした建物「SHIP’S GARDEN」が船のよう浮かんで見えます

 

次は、広告部門「スポンサー花壇(愛称:てらす花壇)」。企業等の協賛により、一年中、街中に緑の潤いを創り出しています。花壇のデザインは、専門家の方の監修の下、本市の緑化活動リーダーとして認定されている“緑のコーディネーター”との共働で行われ、“福岡らしい花壇”をテーマに、まちなみに調和したものとなっています。

真冬にも花が咲き誇っています

 

渋滞の車中からも癒しの眺め

 

現地審査の最後は、建築部門「Rethink Books ~本とビールと焼酎と~ withPloomTECH」。再開発中の土地を有効活用した建物群のひとつです。店内カウンターから目に入る看板の目隠しとして地元アーティストの絵を展示したり、緑やスロープを設置したり、期間限定の建物ですが、気持ちの良い空間づくりがされていました。

配置された緑が潤いの歩行空間を作っています

 

ほっこりする絵を目の前に寛げるカウンター

 

 

ということで、長い長い一日の長い長い審査レポートは終了です。

この審査の結果は、2/24(金)~3/5(日)まで開催される展覧会のオープニングイベントでお披露目です!皆様、乞うご期待!!展覧会には24点が全て展示されます。

 

そして、そして、、、前回から始まった「皆さんが選ぶ市民賞」は、2/1~2/19まで特設サイトで投票受付中!

皆さんから応募があった422点の中から一次審査で絞り込まれた24点のうち、市民賞に選ばれるのはどれ!?簡単にポチポチするだけ、ぜひ、投票してくださいね~!

市民賞の結果は、3/5(日)開催の表彰式でお披露目です。こちらも乞うご期待!受賞作品を巡るウォーキングツアーも同日開催です。

 

「どこが受賞しているのか分からない」、というそこのあなたに朗報です。市内の都市景観賞を身近に楽しむガイドアプリがあります。現在地から探したりもできる優れもの!「福岡市都市景観賞アプリ」をiTunes、Google Playで検索してくださいね。

 

お付き合いありがとうございました!

 




keikanadmin


フクオカをぐるっと360°捉え直すことを目的としたこの「サンビャクロクジュウド」という名のデザインチームは、NPOと公益社団法人と株式会社の3社が組んだちょっと変わったユニットです。
それぞれのミッションは少し違うのですが、フクオカが良くなるビジョンを持ってデザインに取り組んでいます。