2017.1.23 福岡の水辺妄想 
Vol.5:HAKATA ROMANTIC WHARF(福岡市博多区〜東区)

前回、福岡を代表する天神のリバーフロントでのクルージングデートを成功(?)させた男。畳み掛けるように鼻息フガフガで再び女を誘った。

誘った場所は、「博多埠頭」。まるでとあるマフィア映画に出てきそうな雰囲気だが、近年このエリアには新しい商業施設が誕生し、福岡の新たなデートスポットとして、福岡市民だけでなくアジアからの観光客にも人気を博している。

 

えっ…この人なんだか正装しとうけど、、まさかプ、プ、プロ、プロポ…?

 

女は戸惑い、というより半ば恐怖心を抱きつつ男を見たが、男はそんなことおかまいなしのようだ。

女:「・・・この前のクルージングありがとう。・・・本当にす、素晴らしい時間を過ごせたわ。」

男:「だろ。」

もはや男は自分に陶酔しているようだ。なんとも息が合ってなさそうな二人だが、埠頭を歩き始めた。

 

「FORKLIFT CAFÉ TERRACE」

埠頭を歩いていると幾つもの無機質な倉庫が並んでいる。いかにも「関係者以外立ち入り禁止!」といった感じだが、一棟だけ暖かな光を発している工場がある。今年、博多埠頭の入口に出来たスーパーインダストリアルカフェ。その名の通りフォークリフトが料理やドリンクをサーブしてくれるなんともインダストリアルなカフェなのである。

 

男:「ここだよ。」

女:「こんな素敵な場所があったと?知らんかったぁ〜。」

男:「そう。フォークなソングをかけてくれるカフェなのさ。”フォークリフト”だけにね。」

女:「・・・。」

 

倉庫をリノベーションして作られた、迫力満点のカフェ。

 

「CONTAINER OUTLET MALL」

「Forklift Café Terrace」で軽く茶をしばき、二人は店を後にした。

女:「新感覚のカフェやったね。」

男:「あれはまだまだ序の口だよ。次は君に似合う洋服を選んであげるよ。」

女:「う、うん。」

 

女が見上げるとそこには幾段にも積み重なったコンテナに洋服や靴等がびっちりと敷き詰められている。そう、ここはヨーロッパやアメリカの最新ブランドのアウトレット品がDUTY FREEで購入できるアウトレットモール。有名ブランドを格安でゲットできることからこのアウトレットモールは、福岡を訪れる外国人観光客にも人気の観光スポットだ。

 

男:「君には白の●ッチのガウンがよく似合うんじゃないかな。」

女:「えーと、店員さん。この黒の●ルメスのセーターをください。」

男:「あっ、えっ。うん、黒もいいよ。うん。」

コンテナボックスそれぞれがショップとなっている。モール内には海をイメージしたカフェやスイーツショップも点在。散策しているだけでも十分楽しめる商業施設となっている。

 

「THE UO-MANS WHARF」

明らかに洋服の趣味が合わなかった男と女。しかし、男はそんなこと気にも留めずに埠頭を女とともに歩いている。埠頭の殺伐とした雰囲気とは対照的に、夕焼けの暖かな陽光が二人を照らしている。

男:「”チヌのポワレ”と”白ワイン”を。」

女:「私は、”チヌのムニエル”と”白サングリア”を。」

どうやらここは博多湾でとれたピシャっとした魚をフランス料理に仕立ててくれるレストランらしい。今年の博多湾では”チヌ”が豊漁で、特にチヌ料理が人気を博している。

男:「チヌって。別名クロダイっていうんだ。成長にともなってオスがメスに性転換する面白い魚なんだよ。なぜ、性転換するかって?それは弱肉強食という激しい環境の中で、効率よく子孫を残すためなんだ。身体を張って、愛に生きている生き物なんだよ。」

そう言って男は”したり顔”をした。そんな男を見て女は背筋が凍る思いをしたわけだが、男の猛撃はこれでは終わらない。

とれたての魚をその場で食べられるアメリカ西海岸風レストラン。さながら本場サンフランシスコの雰囲気を楽しむことができる。

 

「EXTREME-BAY-PROPOSE」

男:「準備は整ったよ。」

女:「えっ、何の?」

男:「ほら、上を見上げてごらんよ。僕と君との一等星がキラキラ光っているじゃないか。」

そう言うと男はガントリークレーンをすごい勢いで駆け上がり、そして何と、先端のフックにぶら下がったのだ。

(男独り言:「いよいよ。この時が来た。君は僕のものになるんだよ。」)

 

男:「うりゃー!!」

「きーーみーーのーー〜〜こーとーが〜・・・だーーいすぅー〜〜・・・」

女:「・・・あっ、私、用事を思い出したっちゃん。・・・ごめん帰るね・・・。」と女は男にLINEを送った。

男は一瞬何が起こったのか分からぬまま、ミノムシのように博多湾上にぶら下がっていた。

2017年、「世界で最も過酷なプロポーズランキング」で世界一を獲得したばかりの新たなプロポーズサービス。途中で指輪を海に落とさないよう注意が必要である。

 

【施設情報】

名称:Hakata Romantic Wharf(H.R.W)

所在地:福岡市博多区博多埠頭周辺

◇1日入場料:大人[12歳以上] 8,000円(ウェルカムドリンク、フランス料理コース、各種アトラクション入場料含む)

◇年間パス(H.R.W VIP年間パス)大人[12歳以上] 24,000円

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この物語はすべて妄想です。実在の人物や団体等とは関係ありません。

 

みなさま、お楽しみいただけましたでしょうか?

博多埠頭にこんな身体をはって愛を告白できるアミューズメント施設があるとは誰も知らなかったのではないでしょうか。

前回とは一変、男のはやる気持ちに陰りが見えてきました。

次回はついに最終回!男の女への情熱、女の冷めきった気持ち。相容れぬ二人の感情が入り乱れるストーリーに終止符は打たれるのか!

来月の妄想もお楽しみに!

 

ライター:喜多峻平 / イラスト:いしいえりこ




anabafudosan


2013年から、「福岡のここがこうなったらいいな」という妄想を、写真の上にイラストを重ねることでビジュアライズする活動を実施している架空の不動産会社。メンバーは主に、まちづくりや都市計画、建築設計、不動産にまつわる会社や事務所で働き、会社の枠を超えた大人の部活として活動している。