2016.11.28 マチノキモチ 
地震に想う、人のつながり

 

前回は地震の中で、見えてきた「街と建築のあり方」について考えてました。

今回は、地震の復興に欠かせない「ボランティア」について少し書いてみます。

 

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今回の熊本地震では、様々なボランティアが活躍しました。

初期段階の救援物資のボランティアから、瓦礫の撤去や家の清掃のボランティア、精神的なケアを行う医療ボランティア、

そして私が今行っている建物の罹災度合いを診断するボランティアなど。

いろいろなボランティアが存在していますが、皆一様に「何か役に立ちたい」という想いから行動に移しています。

その中でも、メディアにもあまり取り上げられていない「公務員ボランティア」に注目してみましょう。

 

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4月の時点で被災地入りした時、民間ボランティアに混じって、各自治体の職員の方の多さに少しびっくりしました。

上着の背中に「静岡県」「新潟県」「宮城県」など日本各地の行政から派遣された人たちが、

自分たちの経験を活かして活躍していました。

ある人は、東北の震災の経験を伝えたり、ある人は、自分の分野を活かし地元の職員を手助けしたりと、

マンパワーをふるに発揮し活躍されていました。

先日も一緒に作業した方は、なんと釧路の行政職員で12月末まで3ヶ月応援にきているそうです。

この方たちは「人助け」を第一理念とされていますが、他にも理由があります。

災害がおこると被災地の行政だけでは処理しきれないので、自分達が災害にあった場合に備え、

人員をお互いに派遣し合うシステムとしてギブアンドテイクしている状況になっています。

事実、熊本のある自治体の職員の方は、「静岡に何かあったら、今度は私たちが駆けつけます、、、」と

静岡の公務員ボランティアに仰ってました。

これはある意味、災害時にも強い「もちつもたれつ」の良い関係をつくっていると言えます。

 

地震という負の出来事が、お互いの行政を結びつけた側面もあり、

結束をして災害を乗り越える良い機会となったのではないかと思いました。

もちろん災害は無いことに超した事はありませんが、未曾有の危機に協力し合うことで結束し、

次回の災害への経験を残していくことができる人間力をつくっていくと感じています。

今でこそ、私も診断ボランティアとして少し経験をもっていますが、

4月の災害発生時、私たち建築家も実は東北や長野の建築家から様々なことを教えていただきました。

そして、この災害をこれから乗り越えていき、今度はどこかで災害が起こった時、

私たちが駆けつけ、そして被災地の建築家と連携をとっていくことで、経験をつなげ続けていくことができると感じています。

 

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今、日本の地域は疲弊していると言われています。

公務員の仕事は増え、サービス業となっているとも揶揄されていますが、

こうして、小さな一つ一つの行政が日本全体をつなげる事ができている事に、大きな可能性を感じた次第です。

今まで、福岡は福岡のこと、熊本は熊本のことだと考えてきました。

ましてや、釧路のことなど、福岡にいる我々が考える事すらありませんでしたが、

このような災害に直面する事で初めて、福岡以外の日本全体と繋がった気がします。

 

「災害は人をつよくする」と聞きますが、災害は人を強く繋げて、他のマチを想う気持ちを強く持つ。

そんな機会になるのではないかと思います。

 

これだけの災害からただ立ち直るだけではなく、しっかり、つながっていく事を目標に、

これからも息の長いボランティアを行っていきたいと思います。

 




アトリエサンカクスケール


建築や街をイロイロな尺度で捉えなおし、計りの異なる人同士がアイディアを出しながら1つの建築をつくりあげていく設計集団。
尺度が異なれば、新しい愉しい事が産まれるコトを念頭に、身近な生活からまちづくりまで考える。
http://www.a-sansuke.com/