2015.3.21 FUBA INTERVIEW 

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伊都キャンパスから、福岡市都市景観に関わる
−本日は宜しくお願いいたします。まず最初に、なぜ福岡市都市景観賞の審査に関わるようになったのかを教えて下さい。

「私自身は、九州大学の移転先である伊都キャンパスの計画に1993年から携わっています。最初のうちは、敷地の調査や構想づくりをやりました。新キャンパス計画推進室のスタッフも私ひとりからスタートして、次第に増員されました。

 キャンパスは、275haであり、東西3km南北2.5kmと広大な敷地をもち、約2万人の学生・教職員が活動する小都市です。生態、歴史、地盤、土壌、建築、土木、造園、水質など、学内外のあらゆる分野の専門家にご協力いただいて調査を進め、計画がほぼ固まった2001年に、三菱地所・シーザーぺリ・三島設計事務所の共同体とキャンパス・マスタープランをつくり、さらに、施設用地を5つにわけてブロックの詳細計画を進めていきました。まず、工学系地区の計画を終えて、センター地区にとりかかる段階で、新たに黒川紀章・日本設計がブロックアーキテクトとして入ることになり、まったく異なったテイストで計画が進行する恐れがでてきました。マスタープランを遵守するだけではだめで、全体に共通したパブリックデザインの指針を示しておく必要性を強く感じたわけです。マスタープランだけでは、絵に描いた餅に終わってしまうので、色、サイン、植栽、光をランドスケープとして総合的に考えたルールをつくろうという学内合意を取り付け、パブリックスペースワーキングをつくり、佐藤優先生(※1)に御指導いただくことになりました。

 丁度、九州大学が九州芸術工科大学との統合をしていた頃でした。まずパブリックスペースデザインのマニュアルを作成し、佐藤先生にはそれ以来、キャンパスの全般にわたって関わっていただくことになりました。キャンパス計画の仕事をしていくなかで、地域自治体の景観行政に関わっておく必要性を感じていたのですが、福岡市都市景観賞審査委員会にお誘いいただき、やがて他の景観関係の委員会にもご一緒させていただくようになりました。私は建築系の都市計画、景観計画が専門ですので、その立場から意見を申し上げてきました。」

※1 佐藤優(さとうまさる)教授 芸術工学研究院 コンテンツ・クリエーティブデザイン部門 クリエーティブデザインを専門とされている。都市景観賞を25年間、委員として指導。仕事の詳細は http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K002300/society.html

−委員長になられたのは?

「前回からですね。2年前です。」

−主に都市計画を専門にされていらっしゃるんですね。

「はい。九州大学の光吉健次(※2)先生に師事し、アジア太平洋博覧会の会場基本計画や施設設計、シーサイドももちまちづくり基本構想、民間商業施設・文化施設の計画等を担当した後、福岡県のアクロス福岡の建設担当部署で働き、大学に戻ってから伊都キャンパスの計画をするようになりました。その関連で、糸島半島全体を対象とした学術研究都市構想、福岡市や糸島市の都市計画、アイランドシティの計画にも関わるようになり、最近では、We Love天神や博多まちづくり推進協議会など都心部のエリアマネジメントや、六本松、大名小学校、箱崎などの跡地利用計画も手伝うようになりました。アイランドシティの「あいたか橋」は、構想委員会から愛称を決める委員会まで、委員長としてまとめる立場で関わりましたので、今回、市民の投票のみで決まる市民賞に選ばれたことを大変うれしく思っています。」

※2 光吉健次(みつよしけんじ)九州大学名誉教授 1925-2000。建築家、都市計画学者。日本都市計画学会九州支部初代支部長、財団法人福岡都市科学研究所初代理事長。福岡市都市計画審議会会長など、九州各地の都市計画、建築行政に関する委員長、会長職を務め、自治体のマスタープラン策定、住宅地開発、生活環境の整備など、都市の発展に貢献した。

福岡の景観の特色は、地形に恵まれていること
−さまざまな都市計画を手がけている先生から見て、福岡の都市景観の特徴とは何でしょうか?
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「まず、ランドスケープの観点から言うと、地形に特徴があります。山が迫っていて、博多湾に注ぐ河川の水面があって、中世以来発展してきた市街地が広がって、と景観を語るのに必要な要素が揃っていますね。海側から見た際に地形が迫っているのは大きな特徴です。関東と異なるのは、富士山が遠くには見えますけど、基本的に山が無い。印象派もそうですし浮世絵風景画でも、多くは遠景の山を描いています。山が背景にあり、地形に沿って川が流れ、海に注いでいく。そういったダイナミックな景観をかたちづくる要素がしっかり揃っていることが福岡市の特徴だと思うのです。多くの風景画家が港湾の景観を描いていますけど、港湾の地形が向こう側までずっと延びていて、地形の入口のところに建物が群で見えて、遠景に山が見えるという、大体そういう構図で描いている場合が多いのですが、福岡でも同じ構図を見ることができます。

 また、福岡市はコンパクトシティとして評価されていますが、その要因は、山が迫っていることだと言われています。こうした地形に恵まれていることが、福岡市の特徴のひとつだろうと思うのです。特に福岡市は、北側に海があるのも大きな特徴です。南から日が射すと、北側の水面や向こうの島に日が当たり、良く見ることができます。南側だと逆光になってしまう。北側に海のある都市として、エジプトのアレキサンドリアがあります。クレオパトラが住んでいた都市です。北側が湾になっていて、モスクやホテル、オフィスなど、湾沿いの建物がどれも北側を向いており、景観を考える上でとても参考になります。」

坂井教授プロフィール
九州大学新キャンパス計画推進室 教授・副室長/九州大学人間環境学府 教授/九州大学工学部 建築学科 教授
専門分野: 都市計画、都市設計、景観設計、公共空間計画、キャンパス計画
詳細情報は http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K001325/



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