今年の福岡市都市景観賞には810件の応募があり、各分野の選考作業を比較的順調に進めることができました。審査会に先立ち、市内に点在している各候補作品を委員とバスで効率よく見てまわり、内容を確認したうえで大賞及び各部門賞を選出しました。

大賞を受賞した西南学院大学図書館は、レンガを透かし積みにした印象的な景観をつくりだし、街路に対して昼夜それぞれに豊かな表情を生み出しており、周辺に公共空間を創出しつつ、通りからの見上げた時の圧迫感を低減するなど、都市景観に配慮した点が高く評価されました。

ランドスケープ部門賞の西日本シティ銀行ココロガーデンは、グランドレベルから自然に導かれる屋上庭園を、地域の景観・環境資産としてゆったりとつくりだしていることが評価されました。

建築部門賞の森のおうち保育園は、敷地の傾斜をそのまま利用し、屋内外を有機的に連続させ、スケールを抑えながらも記憶に残る保育園をつくりだしていることが評価されました。


広告部門賞のWeBase博多は、建築ファサードから飛び出す巨大な猫の半身が特徴的であり、アートとしての重層性を持ち合わせ、人を惹きつける景観をつくりだしている点が評価されました。

活動部門賞のきんしゃいきゃんぱすは、商店街の空き店舗を活用した子供の遊び場を提供し、大学生とOB・OGで平日放課後の箱崎の路地のにぎわい、活気を生みだしている点が評価されました。

市民賞の平尾保育園は、草木が丁寧に配された自然石の石積みと園庭の木々、低層の穏やかな意匠の園舎によって、大規模開発が進む地区のなかでも心落ち着く景観を提供していることが評価されました。

このほかに選外となったなかにも意欲的な作品が多くみられ、景観に配慮するための質が上がりつつあることを実感しました。 これまでの受賞作品を暖かく見守り、これらが市民皆様の資産となっていくことを願う次第です。

2018.11.12
福岡市都市景観賞選考委員会委員長
九州大学教授 坂井猛