2015.5.21 景観の作法 
建築の便利な見方

私は知らない街の知らない建物・施設を利用しても迷わずエレベーターやトイレを見つけることが出来ます。なぜでしょう?それは建物の特性を知っているからです。それを簡単にお教えしますね。

大きな建物を設計者の目線で見てみると、その建物を便利に使う、そんな便利メガネを手にすることが出来ます。

皆さんは初めて行く、または余り行き慣れてない建物(デパート・ショッピングモール・病院・駅・空港)などで迷った事があるでしょう。大きい建物、特にその階の面積が広い建物の場合どこに何があるのか分からない、そんな経験をされた方も多いはず。急にお子さんがトイレに行きたくなって探し回った・・・そんな事あるはずです。

実は建物は大きな基本計画からなるストーリーが何よりも先にあるのです。

それは設計者の中では「コア」と呼ばれる物。何かと言うとその建物の共用部分の集まる場所なのです。簡単に説明すると大きな敷地に平面的な計画をする際、先ずは法律と要望により面積が決まり、建物の概形が決まっていく。そして、この「コア」を決め込んでいきます。これにより平面方向と次の階の高さ方向の計画がやりやすくなるのです。

共用部分の「コア」とはすなわち、階段、エレベーター、設備スペース(トイレや配管スペース)のこと。この場所を知れば建物の中の位置関係がよく分かります。

 

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「コア」には大きく分けて3つ。「中央コア」と「両端コア」それと「偏芯コア」。

「中央コア」とは共用部分が真ん中にあるパターン。高層の事務所ビルなどに多くみられます、最近の大きな病院もこの形をとることで平面移動が少なくなります。全ての階が同じ形で構成されるために、どの階に行っても迷いません。「コア」の周りに各部屋が配置されています。窓がないので廊下が暗くなりますね。

「両端コア」と「偏芯コア」は端っこに共用部分があるパターン。その階の面積がドーンと広く必要な場合に計画されます。デパートや駅・空港などはこの形が多くみられます。

デメリットとしてはその階の移動が長くなってしまう事でしょうか。

これにはあるトリックが・・・実は商業系の施設にこの端っこパターンを使うのは、いっぱい歩いてもらって商品をよく見ていただく、そんな意図も隠されています。

私の場合ですがスーパーの惣菜コーナーのメンチカツが気になる感覚と少し似ていますね。

 

本題に戻りましょう。

勿論、施設の構成にも左右されます。だいたいデパートなどは真ん中にエスカレーターが配置されているため「コア」が端っこに考えられていますね。ですからエスカレーター近辺にはほとんどの場合トイレは配置されていません。

デパートで「コア」を探す場合、道路側と反対側(道路側には大きな窓があるためコアは配置しにくいのです)の壁面、もしくはエスカレーター上がって正面か後ろの両端に必ずあるはずです。

 

いろいろな建物があるわけですがこの事を知っていると、その施設が何なのかですぐに構成が理解できる訳です。となると「コア」は階段・エレベーター・トイレがセットになっているわけですから、エレベーターの周りを見回してみるとトイレが高い確率で存在しています。

 

この方程式が当てはまらない建物も勿論存在します、一つは複合施設です。いろいろな用途の施設が混在して入っている建物です。

もう一つは増築・改築を行った建物、古い駅なんかはこれに該当します。利用しながらの工事計画なのでこうなるのですが。

この二つは何とも難解。

こうなると近くの係りの人に聞いた方が早いです。

 

どうでしょう。建物の特性とは使いやすさと施設の意図。このことを理解することでほとんどの建物が読み取る事が出来ます。

今度是非皆さんもこの便利メガネで建物を見回してみて下さい。きっと便利に楽しく利用することが出来ますよ。

 




寿久佐々木


一級建築士・管理建築士
1988.05 ヤマトマネキン環境開発本部
1998.10 設計事務所
2000.11 佐々木設計室 設立
2008.11 アートレ建築空間 一級建築士事務所 設立