2018.10.26 まちのいろ 
「ももちのいろ」

インターネットで「福岡 景観」で検索をかけると、出て来るのは福岡タワーを含む、百道浜の景観だ。

その昔は、福岡の景観と言えば、中州のネオンや、屋台だった気がするが、

福岡の顔も変化しているようだ。

 

そんな百道浜の街に住んで2年になる。

個人的な感想だが、中央区に住んでいた頃は、百道浜は福岡の中心部よりも、ちょっと距離も離れていて、なにか目的があって足を向ける場所で、日常を想像しにくい場所であるという印象を持っていた。

ところが、住んでみて、住み易さにちょっと驚いている。

住みやすいと感じる理由の一つが、ご近所の「景観の美しさ」だ。

 

 

百道浜地区には大きな建物も多いが、圧迫感はあまり感じないし、視界に違和感を感じるものが少ないという印象がある。百道浜地区の景観の美しさは、周りとの調和、統一感から来る美しさであると思う。 それもそのはず、百道浜地区は都市景観形成地区の指定を受けて開発された地区だ。建築物や広告物にも細かな規制が設けられている。その規制のひとつが、「色彩」だ。具体的には、百道浜地区(正しくはシーサイドももち地区)の建物の外壁に使用できる色彩は、「彩度6.0以下の 落ち着きのあるもの」と決められている。彩度とは、色の鮮やかさの度合いのことで、マンセル値という色の値を示した基準では、0から14くらいまでの数値で表し、数値が高い方が彩度が高い、つまり鮮やかということになる。彩度6.0以下ということは、百道浜地区で建物を建てようと思っても、昔、話題になった某漫画家さんの赤と白のストライプの外壁の建物・・・にはできないのだ。赤と白のストライプの家自体が美しいか否かはさておき・・・彩度が景観に影響を与えやすいということは想像できるのかと思う。

高彩度色や蛍光色は、自己主張をする色だ。

遠くからでも存在を示す事ができる。

百道浜地区であっても、看板などの広告物であれば使用する事はできるが、その面積は少量である。

 

一方、彩度を抑えた色というのは、どんな役割の色なのか。

まず、人に違和感を与えない色とはどんな色だろう。

そこにあることが当然のもの。

地面の色、空の色、海の色、川の色・・・自然の色だ。

例えば、海は青といっても、福岡の海は真っ青というわけではない。

そこには色んな物の色が混ざっていて、時には黒く感じるときも、白い波が立つときもある。地面にしても、小さな石ころや、木の実が落ちていたり、赤みのある土やアスファルト、さまざまな物の色が混在している。

絵の具の鮮やかな色を混ぜ合わせていくと、いつの間にかグレイッシュになるように、自然(当たり前にそこにあるもの)の色はさまざまな物の色が混ざって、グレイッシュ(濁色)なのだ。

その色と似通った色が、違和感を与えない色といえるのではないか。

つまり、彩度の低い色は、景観に使用する色として、「自己主張し過ぎず、なじませる」という役割の色と言える。

 

 

もうひとつ、百道浜地区の規制の中に、緑の存在がある。

長い緑道があったり、集合住宅の敷地内にも多くの緑が植えてある。低い彩度の景観に、鮮やかなグリーンが映えて、アクセントになり、目をひく。

都会にありながら、自然と自然のものに意識が向く様な環境も、住みやすいと感じる要因なのかも知れない。

 

「マークイズ(MARK IS)  福岡ももち」2018年11月21日(水)開業(三菱地所グループ)

 

そんな百道浜のご近所、ホークスタウンモール跡地に、新しく建設中の建築物も、グレイ色の「マークイズ福岡ももち」だ。

この秋にも誕生する、新しい福岡の顔も、ちょっと楽しみである。

 




山澤かおる


1968年 福岡生まれ Switch Colors 代表
 空間色彩プランナー 色彩心理コミュニケーター ファッションカラースタイリスト

看護師としての精神科看護実務経験を持つ。色彩心理を使ったコミュニケーション、空間色彩コーディネイト、
ファッションスタイリングなどを通して「色彩」の魅力を発信している。