2018.8.21 景観室だより 
「福岡市都市景観賞」への想い

都市景観は,道路や建築物などの人工的な構造物と,山や河川,海浜などの自然的な要素から構成され,そこに,地域の歴史や文化,市民の暮らしなどが反映されることにより形成されるもので,都市の印象や雰囲気などを含めた都市そのものを表すものといえます。

 

都市には安全性や利便性に加えて美しさが求められ,美しい都市はそこに住む市民や事業者,行政がそれぞれの立場での役割を果たし,小さな努力を積み重ねていくことでつくられるものです。良好な都市景観は,市民一人一人が景観の重要性を理解し,意識することによって育まれる市民共有の財産であり,道路や建築物など,ひとつひとつのデザインが優れていることはもちろんですが,これらがまちなみとして調和してこそ優れた都市景観が生まれます。

 

私たちにとって心豊かに暮らせる福岡らしい美しいまちなみや景観は,建築物をつくる際や日常生活において,周囲との調和や雰囲気づくりのための工夫や配慮を積み重ねることで創りあげられてきました。

福岡市都市景観賞は,こうした良好な景観形成に寄与しているランドスケープや建築物,屋外広告物,あるいは市民活動等を表彰するもので,今回で28回目の開催となりました。

1987年(昭和62年)に始まり,これまでの受賞作品は209点(平成28年度末時点)となり,福岡タワーやアクロス福岡,ホテル イル・パラッツォなどの大規模な建築物のみならず,名島橋やけやき通りなど暮らしの中の身近な空間や,「博多百年蔵」石蔵酒造やナガタパン箱崎店といった市民が日頃利用する店舗や商店なども数多く受賞しています。

 

名島橋(第11回)

 

 

アクロス福岡(第12回)

 

 

ナガタパン箱崎店(第23回)

 

福岡市都市景観賞は,「皆さんの推薦から始まる賞」「皆さんが選ぶ賞」という形式になっているのが特徴です。

ついつい見過ごしがちな暮らしの中にある自然,建物,広告物などに改めて着目し,自分のお気に入りの景観を見つけ応募してください。また,ノミネートされた作品の中から,皆さんが「市民賞」にふさわしいと思われる作品を選び投票してください。

皆さんが主体となり参加することで初めて成り立つ取り組み,それが「福岡市都市景観賞」です。

皆さんから推薦された作品は,学識経験者など専門的な知識や経験をもった方々で構成する選考委員会で厳正な選考を行い,「大賞」をはじめランドスケープや建築といった「部門賞」を決定します。

また,表彰式では,選考委員による評価点の説明や講評を行うとともに,受賞した作品の所有者や設計者の方々に作品の特徴や完成に至るまでのエピソード,作品にかける想いなどを発表いただくこととしています。

第26回 表彰式

 

第27回 表彰式

 

こういった「推薦」から「表彰」までの一連の取り組みをとおして,一人でも多くの方々に景観に関心を持ってもらい,市民全体の共通の財産である景観を自分たちの手で形成,維持する取り組みにつながり,また,優れた景観の価値観の共有が図られ,「点」でしかない作品が「線」となり,やがて「面」となり,最終的には,福岡市全体が福岡らしい魅力ある景観となることを心から期待します。

 




岳本美保


昭和45年生まれ。福岡市住宅都市局地域まちづくり推進部都市景観室長
建築局建築審査第2課/住宅都市局住宅計画課/福岡市住宅供給公社事業調整課調整係長/住宅都市局住宅計画課居住支援係長を経て現職