2016.10.24 マチノキモチ 
震災に想う、街と建築のありかた

 

2016年4月14日・16日に熊本・大分地方を襲った地震について被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。少し遅くなりましたが、今回の地震について、少しだけ感じた事をお伝えできればと思います。

 

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福岡でも強い揺れが観測され、家具や小物などが破損したとの話が飛び交っていましたが、皆様は如何でしたでしょうか?日本は地震大国といわれながら、今回の地震は残念ながら、わたしたちが如何に備えていなかったかとの反省をする機会となってしまいました。しかしながら、そもそも、どれだけの備えがあれば良いのかという問いに、応えられる人はいないものです。家をつくったり、街をつくったりする場合、日本では「建築基準法」という法律に沿って、設計を行う事が決められています。この建築基準法には、そもそも「どれだけ備えすれば安心」という概念はありません。これらの法律は、建物の最低限の強度を示しているに過ぎないと言われています。そしてこれらの基準法の中には地震強度でいうと、震度6強、6弱という震度区分において「これくらい壊れない様にしましょう」という事が決めれられているに過ぎません。みなさんが今回の地震速報で聞いた「震度7」という基準は、建築基準法上ではあまり明文化されてこなかった数値でもあり、震度7が2回襲った今回の惨状については、法律的には「想定外」だったという事が言えるのかもしれません。

 

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先日、熊本の嘉島町という場所に、罹災証明手続きの診断ボランティアとして参加してきました。家は無残に壊れ、行くだけでも専門家として無力である事を痛感させられました。まさしく「想定外」という自然災害に、住まい手の方々がどれだけ不安になっているのかと考えると、災害支援に行った私でも気が滅入る状況です。

しかし、住まい手の方はどうだったでしょうか。至極明るくふるまって頂き、家族同士、住人同士が協力しあっている様子で、目に飛び込んでくる瓦礫の山という情景と、そこに住まわれている人から感じる雰囲気が異なっていたような気がします。

 

私たちが設計する建物には、強度や機能の他に「人と人をつなぐ」という役割があります。

防災に備えよ、という事は、単なる物理的な地震強度や津波に耐えられる高さという事だけでなく、日頃から近所の人と接する機会が増える様に、そして、家族がいつまでも仲良く暮らせる様に、などの感覚、感情的な事を考える事も防災の一部ではないでしょうか。そして、今回の地震ではこれらを大きく実感した次第です。「どれだけ備えれば安心」というのは、災害時にどれだけお互いに助けられるネットワークがあるか?という事に、ヒントが隠れているのではないでしょうか。

 

福岡市は巨大都市の仲間入りをしました。防災をただ単にハード的な事として捉えない、新しい街のあり方を作って行く道程に、私たちは生きているのかもしれません。

 




アトリエサンカクスケール


建築や街をイロイロな尺度で捉えなおし、計りの異なる人同士がアイディアを出しながら1つの建築をつくりあげていく設計集団。
尺度が異なれば、新しい愉しい事が産まれるコトを念頭に、身近な生活からまちづくりまで考える。
http://www.a-sansuke.com/