2016.8.1 くらしのにおい 
横断ほどう橋02

前回からの引き続きで「横断歩道橋」について考察してみたい。

まとめると横断歩道橋は地上約5.3〜5.8mの高さに設置された道路を横切る歩道で、駅や小学校、大学など時間帯による歩行者が多い上

車線数や交通量が多く道路幅員等の絡みで設置されるかどうかが決まるのです。

色味は全体的に薄いパステルカラー調で「空に馴染むような圧迫感のない色彩」「周辺の信号や交通看板の妨げにならない色彩」である事。

また、やむを得ない場合の緩和がとても多く自由度が高いということなどがあげられます。

 

横断歩道橋の面白さは、ブリッジと昇降装置である直階段のシンプルな形態から、やむを得ない場合の形態変化にあるようです。

階段ののぼり方向が揃った、コの字型の歩道橋を基本形とすると、階段の降り方向が違うカギ型、両方向に降りるH型など

また、折り曲がり階段、螺旋階段を含めると、単一道路へ架かる歩道橋の昇降装置の違いだけでも多くのパターンがあります。

これに加え、交差点などに設置されるL字型、ロの字型、X字型などブリッジ形態が加わっていきより複雑になっていきます。

 

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ロの字型歩道橋で最も印象的だった歩道橋は、大分市内にある昭和通り交差点で25年程前に磯崎新設計の福岡相互銀行大分支店を

見に行った時に、カメラ片手にグルグル廻った記憶があります。一般的な1.5mの高さのアングルではなく、7mの高さから見る建築の

面白さに感動し、良いアングルを探してロの字型歩道橋を2周程廻った記憶があります。

この歩道橋に対し、香椎参道口交差点にあるX字型歩道橋は対角線を結ぶように歩道部分が交差し、中央にまちを眺める為の円形広場が設置され、

さながら空中に浮いた公園のようでもある。自転車を押して昇れるように中央に斜路が付いたゆっくりとした階段や4つのエレヴェータが

設置され歩道橋(中央広場)に積極的に昇るようデザインされているかのようです。

 

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こういう変わったカタチの歩道橋を訪れると、走行中の車から見える工作物としての景観とは別に、視点の高さを変え、まちを眺める歩道橋が

あたらしい景観を発見する為の装置の役割を持っている事を実感します。

見下ろすという視点を利用して「博多灯明ウォッチング」時の浜口公園前横断歩道橋は、隠れた写真撮影スポットとなっています。

歩道の上から眺める大きな道路の風景は建物のスカイラインやセットバック、街路樹の形態を見るには最適な高さだし、最新の車のデザインを

いつもと違う目線でチェックしたり、バスの上に書いてある数字をみながらボーッとするのも楽しいです。

 

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見る場所であり見られる場所というのが歩道橋の付加機能と言っても良いのかもしれません。

小学校の近くの歩道橋などは、子ども達の標語とか飾ってあってほっこりするときありますしね。

 

そういえばサスペンスドラマや漫画の中で、何者かに背中を押されて横断歩道での転落死の話しとかがありますが、顔を見られずに実行するには歩道橋の設計では以外意外と明るいですし、車は走っていますし、橋の上だけに逃げ場もありません。階段は緩やかな場合が多く歩道橋での殺人など可能性の低いギャンブルみたいなものです。また逃亡の為、横断歩道の上から走るトラックの荷台に飛び降りるシーンがありますが、実際にはすごく長いフワフワしたトレーラーでもなければ、命を落としかねませんので、絶対に止めておいた方が良いと思います。

 

歩道橋と似たような構造物としてペデストリアンデッキ(空中人工地盤面)がありますが大きな違いは車道との交差が無い事でしょうか。

2階の床面に歩行者の為のスペースをつくるという機能の為、歩道橋と相性が良く、最近の新しい歩道橋は単純に歩行者と車を分けるだけではなく、人工地盤付きの施設と付属した形になっています。

福岡でこの新しい考え方の歩道橋は高宮駅西口のペデストリアンデッキからの県道31号線を渡る歩道橋が最も古くからある様な気がします。

最近出来た博多駅前広場のデッキスペースは、最終的には屋根付き歩道橋となってバスターミナルから空港通りを跨ぐ歩道橋となっているし、

キャナルシティから川端商店街へと繋がる屋根付き歩道橋は見上げた姿も施設と一体感のあるデザインとなっており、歩道橋というよりは

施設の延長で2階レベルの歩行者動線を上手につなごうとしている。

 

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歩道橋の未来は、この新しい考え方による施設への歩行者動線として屋根付きで大きく複雑になる傾向と、歩行者専用の信号によって歩者分離がシンプルに解決され不要なものとして解体されていく方向に分かれる事になるでしょう。横断歩道橋の格差みたいに思えるが、やむを得ない気もします都市型の自然淘汰とはこういうものかもしれません。

50年も前に出来上がった大先輩とも言える歩道橋に学童や学生の安全を確保して貰い、尊敬の念を抱きながら色々と歩道橋を調べて歩くのも楽しいかもしれません。ただし歩道橋の階段の下でカメラ片手にニヤニヤしていたら職務質問を受ける事になるのでご注意を!!




ogata


建築家、NPO法人九州コミュニティ研究所 副理事長、日本キチ学会代表、九州産業大学非常勤講師。
著書:「秘密基地のつくり方」(2012)