2016.7.25 くらしのにおい 
横断ほどう橋01

車で市内を移動していると、都市の景観の中でパステルカラーの「横断歩道橋」が目に入ります。

パステルピンク、パステルグリーン、アイボリーなど彩度が低い、ふんわりした色のゲート型構造体

友人に言わせたら、空の色調にあわせて色決めされているとロマンチックな話を聞いたのだが、

ピンクやグリーンは空っぽくないなぁ〜と不思議に思っていました。

 

道路付属物等の色彩計画指針の中に、「マンセル色相表示10YR系の色彩を基本とする。」とあるので

全体的にベージュが基本の色なのだが、明度7〜9、彩度2以下であればどんな色でも使えるようです。

まぁ、圧迫感が無くサビが目立つ色彩であればオッケーなんだろうなぁ〜なんて考えていたら、歩道橋が気になり出しました

今回の「くらしのにおい」は2部作で「横断歩道橋」について語ってみたいとおもいます。

 

まずは横断歩道橋の歴史から話してみたい、日本で最初の横断歩道橋は1959年に愛知県に設置された「学童専用陸橋」で

コンクリート製の歩道橋でした。(2010年に老朽化のため解体)

現在福岡市にある歩道橋がほぼ鉄骨造だとするとコンクリート性の歩道橋はとても珍しく、古い画像から察すると

プレファブリックかつプレストレスなコンクリート橋のデザインで、プレプレコンというにふさわしいアトノセ型の形状でした。

 

日本最初の歩道橋の話しが出た所で、横断歩道橋の設置基準にふれてみたい。

そもそも設置基準が通達されたのは、1965年9月23日とある。

最初の歩道橋から6年後となる事から、この6年間に色々な問題が発生したと考えられる、そして最も問題が出たと考えられる桁下高さの規定は、「横断する道路の建築限界をおかしてならない」とあり道路面の補修などを考慮して余裕高さを見込む事を指導してある。

道路の建築限界では4.5m以上の確保が最低基準となり、余裕高さを含め5mやむを得ない場合は4.7m以上とするのが一般的らしい。

その上で、歩道橋形式は昇降高さが出来るだけ小さくなるよう、周囲の環境との調和を十分考慮するように選定しなければならない。

この2つの基準より、横断歩道橋は高すぎても低すぎてもいけないという事である。(だいたい5.5m〜6.0mに床がある)

 

また、歩道の幅員や階段幅、斜路、踊り場などの詳細規定が細かく規定されているわりに、やむを得ない場合はと銘打って若干の緩和措置があるのがとても興味深い、例えば横断歩道橋の残存幅員は1.5m以上とするがやむを得ない場合は1.0m以上とか、斜路付階段は幅員2.1m以上だがやむを得ない場合は1.8m以上とか、蹴上150踏面300がやむ得ない場合は蹴上180以下踏面200以上とか、設置基準の割には緩和が多い!

これは道路上に物を作る事の難しさを物語っているのかもしれないなぁ〜なんて考えながら横断歩道橋を渡るとちょっと楽しいのです。

特に昇降装置(階段形状)の違いは、「直階段+直階段」「螺旋+直階段」「(直階段+スロープ)+スロープ」など周辺環境によって大きく異なり歩道橋のシルエットを大きく変化させ個性的な面白さを産み出す要因となっています。

 

01

02

03

04

 

さて、皆さん横断歩道のある風景を思い出してみて下さい!

 

歩道橋近くに何があるかイメージできますか?福岡市の(特に3号線に直交する)歩道橋のそばには小学校や大学が多い事がわかります。

国道3号線を東へ向かって進むとゆめタウン博多と福岡中学校をつなぐ場所を皮切りに、東区役所箱崎宮前、九大前、九大グランド傍、箱崎7丁目貝塚病院傍、名島駅、専門学校前、千早小学校前、ワンダーランド香椎本館前、香椎参道口、御島橋、福岡女子大前、九産大前まで14カ所の歩道橋がある、さらに西日本工業大学前、香住ヶ丘、九産大駅前に2つと国道495号線にも4カ所もあります。。

4車線道路の国道202号線、県道31号線にも歩道橋は多く存在しているのに県道602号線や国道385線(通称日赤通り)には道路幅が広い割に存在しないのです。(やむを得ない事情とかがありそうですね)

高度経済成長期の自動車優先的な考え方ではあるが、交通量の多い道路(国道)に対し、通学・通勤時の歩行者が横切るのを助ける為のシステム、車道幅員25m以上と単路または信号機のない交差点において、ピーク1時間あたり100人以上の横断者数というのが歩道橋の設置基準なのである。(特に学童用の規定は一般より設置しやすい傾向にある)

また、車両交通のあい路となる、三叉路や複雑な交差点で歩行者にとって著しく危険と見なされる場合は設置が可能との事なので、

歩道橋は、車社会から歩行者を守る優しさと、面倒くさい昇降をさせられる厳しさとが同居した(前時代的)景観要素なんだなぁ〜と改めて実感する事になりました。

 

05

 

 

歩道橋には「橋歴板」という200×300サイズの名札がついており、調べていくと3号線の歩道橋の多くは1960〜80年代に製作されたものが多いのである、特にワンダーランド香椎本館前の歩道橋(もともとは香椎駅からの人の流れかな?)は1965年3月とあるので設置基準通達前の歩道橋が50年間も存在していることになる。

最も新しいのは御島横断歩道橋で2010年製作とあるので、距離は1kmも離れていないのに、製作時間には45年も開きがある。

 

06

07

 

また、塗装も定期的に施され、塗装年月日、塗料の種類などを「橋名板」と同じように桁部分に表記してある。

参考画像の名島歩道橋は1964年の設置基準をもとに1969年1月に完成、使用材料はSS41、設置者は九州地方建設局。

2013年3月に関西ペイント株式会社による、ポリウレタン塗料による塗装直しで使用の色味はT25-90D(5Y9/2)「日本塗料工業会色」

その他確認できた塗装色はF22-90H(2.5Y9/4)C42-80D(2.5G8/2)E19-70A(10YR7/0.5)などで、多分に漏れず「空に馴染むような圧迫感のない色彩」であり、「周辺の信号や交通看板の妨げにならない色彩」だと言えるでしょう。

 

08

09

 

今回の「くらしのにおい」はいつもと違い、真面目な横断歩道の勉強会になってしまったが、やむを得ないので

次回は、最新の歩道橋事情について楽しいお話しをしたいと思います!

 




ogata


建築家、NPO法人九州コミュニティ研究所 副理事長、日本キチ学会代表、九州産業大学非常勤講師。
著書:「秘密基地のつくり方」(2012)