2016.7.11 くらしのなかのランドスケープ 
那珂川の景-②

前回(7月4日掲載分)に引き続き、那珂川沿いを自転車で巡るレポート後半(上流側)です。
後半のスタートは博多区と南区、中央区の接点にもなっている「百年橋」からです。
百年橋は、竣工した昭和42年が明治100年にあたることを記念して名付けられた橋で、橋の名前がそのまま通りの名前にもなっています(百年橋通り)。

 

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百年橋(立っているのは中央区、道を渡ると南区、橋を渡ると博多区)

 

そして、この辺りから河川沿いは緑量が増え、河川敷も緑地として整備されているので、那珂川をより身近に感じることができます。また、高い建物も少なくなるので、空も広く感じます。

 

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河川敷の散策路と河川敷から見た百年橋。橋脚でかい。

河川敷の散策路と河川敷から見た百年橋。橋脚でかい。

 

百年橋からひとつ上流側の橋は「那珂川筑肥橋」。旧筑肥線の廃線跡に架かる橋ということで、親柱と高欄のデザインもどうやら機関車がモチーフのようです。
平成15年竣工なので比較的新しいのですが、痛みが目立つのが気になります。落書きも残念です。

 

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写真左:南大橋(若久川が注ぎ込む) 写真右:清美大橋からみた下流

写真左:南大橋(若久川が注ぎ込む) 写真右:清美大橋からみた下流

 

この辺(清水・美野島・竹下)は、那珂川河川緑地として整備されており、整備後約20年経っていることから、サクラを中心とした樹木も大きく生長し、緑量豊富で良好な景観となっています。

並行する道路と河川の距離感もなんとなく程よく、水際には親水スペースや散策園路も整備され、緑地の中央付近に架かる「清美立体橋」からは高い視点から那珂川を臨むことができ、まさに様々な視点で那珂川を臨み、触れることができるいい場所だと思います。

 

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右岸側道路沿いにはクチナシが植栽されており、いい香りがしていました。(撮影日は6月中旬)

 

さらに上流へと進むと、少し川幅が狭くなり、河川沿いの緑はさらに濃くなってきます。

 

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部材に木材が使用されている防護柵。かなり老朽化が進んでいますがいい味出しています。

 

この辺りは右岸側をJR鹿児島本線が並行しており、JR竹下駅前を通るのですが、そこに架かる人道橋が「りぼん橋」。真っ直ぐ抜けると、南警察署前を経由して日赤通りへとぶつかります。
デザインと橋名との関連性は不明ですが、デッキの階段があったり、隙間から川を覗くことができる仕掛けがあるなど、なかなか面白いデザインの橋で、利用している人も多く見られました。

 

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さらに上流へと進むと、「番托井堰(ばんたくいぜき)」が見えてきます。つい最近改築された堰ですが、その歴史は200年以上前まで遡り、長い間地域の田畑を潤した古い堰なのです。
左岸側には遊歩道が整備されており、塩原小学校の脇を抜けていきます。
そしてこの辺りから、河川との距離が離れ、再び水辺が遠くなります。

 

番托橋から見た「番托井堰」。

番托橋から見た「番托井堰」。

 

写真左:西大橋から見た博多であい橋  写真右:天神中央公園(水上バス乗り場)

写真左:西大橋から見た博多であい橋  写真右:天神中央公園(水上バス乗り場)

 

 

下流側の橋からは見えるのに、住宅地の間にあって、少し分かりにくく通り過ぎてしまったのが下の写真奥に見える「高木橋」。
行ってみるとすごくシンプルな人道橋でした。竣工は昭和54年なのですでに30年以上が経っています。左岸側には既存樹木を残した形で整備された道路があり、通りにくい道ではありますが、自転車だと木々の間を蛇行して通り抜けたくなる、面白い景観を形成していました。

 

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さらに上流へと進むと、西鉄大牟田線の線路を横断し、高宮通りと交差します。
川沿いには高木小学校や三宅中学校、香蘭女子短期大学など、学校が多く立地するエリアです。
その高宮通り沿いに架かるのが「井尻橋」。下流側には西鉄大牟田線の高架橋を臨めます。
この辺に来ると河川敷の自然度が増し、ほぼ川へは近づけない感じです。

 

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「井尻橋」。高欄のデザインが渋くて気になりました。(※ちなみに昭和55年竣工)

「井尻橋」。高欄のデザインが渋くて気になりました。(※ちなみに昭和55年竣工)

 

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右岸側の「横手一丁目なかよしロード」。アジサイの花が道路沿いを華やかに彩っていました。

 

 

この辺りから那珂川に架かる橋の間隔も徐々に大きくなってきて、橋の上から見える次の橋が遠くなってきます。そして川の様子も下流側とは少し表情が変わってきています。

 

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上流へと進むと目立つ赤い橋が。この辺りの河川沿いは遊歩道が整備されているのですが、その遊歩道をまたぐように架かる人道橋が「的場橋」。幅員の狭い橋ですが、利用する地域の方も多く、歩行者だけでなく自転車で渡る方も多く見られます。地域の良いランドマークになっているのではないでしょうか。

 

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右岸側の遊歩道を進むと、河口付近で出会った福岡都市高速道路と再び出会います。
この辺りはさらに対岸が近くなった気がします。
河川沿いの遊歩道は都市高速の下を潜る形で上流側へと続いていて、人工的で無機質な空間なのですが、所々都市高速道路の隙間から光が差し込む不思議な景観となっています。

 

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写真左:都市高速道路と並行する「下日佐橋」。  写真右:都市高速道路の下を抜ける遊歩道。

写真左:都市高速道路と並行する「下日佐橋」。  写真右:都市高速道路の下を抜ける遊歩道。

 

さらに上流に進むと、住所でいくと警弥郷とか老司のあたりですが、さらに川幅が狭くなります。

右岸側は「第一号那珂川緑地」となっており、散策路や休憩施設などが整備されているのですが、第一号というだけあってかなり昔に整備されたのでしょう、かなり施設の老朽化も進んでいて、一部再整備工事が行われていました。

 

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第一号那珂川緑地。“親水”という感じではないですが、水辺は近く感じます。

第一号那珂川緑地。“親水”という感じではないですが、水辺は近く感じます。

 

上流側へ進み、「老司の堰」を超えると再び川幅が広がります。那珂川の中流域にあるこの堰は歴史も古く、約400年前の福岡城(舞鶴城)築城の頃から用水路取水用堰として存在していたのでは。とも言われています。今の姿を遠目に見るだけではそんな歴史を感じることはできませんが、歴史を知ると見方も変わるものです。堰の上流左岸側には「那珂川緑地-老司河畔公園」となっていて、花木の間を通る形で散策路が整備されているほか、休憩施設や親水施設も整備されていますが、現在親水施設は閉鎖されています。

 

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老司河畔公園。利用者も多く見られました。   下流側から見た「老司の堰」川までが遠い。

 

いよいよゴールです。
梅雨入り後の晴れ間をねらって行ったのですが、前半に比べて明らかに空が曇ってきて写真としてはなんとも微妙な感じです。とはいえ、なんとか全工程約4時間弱(写真を撮りながらなので時間かかりました・・・)の旅も那珂川町との市町界で終わりを迎えました。
この辺にくると、目に入る建物も少なく、遠くには山が見え、空が広く感じる景観となっています。
ゴール地点には新しい橋「老松橋」が建設中であり、まさにこの橋から上流が那珂川町です。(でも実は川の中央に市町境があり、右岸側はまだ南区なのですが)

 

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写真左:川の中央に市町境。 写真右;那珂川町から見た「老松橋」

写真左:川の中央に市町境。 写真右;那珂川町から見た「老松橋」

 

 

2回に渡ってお送りしたこの福岡市域の那珂川水辺リポートをもって、私のコラム「くらしのなかのランドスケープ」も最終回とさせて頂きます。
中身のないコラムにお付き合い頂き、覗いてくださった皆様に感謝です。ありがとうございました。

 

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佐藤宣之


ランドスケープデザイン(主に公園設計)に従事して20年余りたつが未だ修行の日々。
近頃の休みは愛する娘(3歳)を連れての市内外都市公園巡りが楽しみ。
酒と肉と映画をこよなく愛する43歳。