2016.2.8 景色を輝かせるもの 3
ホットドックとカテナリー曲線

小5の時、父親と平和台陸上競技場へ福岡国際マラソンを見に行った。
―瀬古が走りよーけん、見に行こーか!
信号で停止した助手席の窓から外を眺めていたら、ふと中学生と目が合う。
全速力で自転車をこいで、車を追いかけてくる3人の中学生。
次の信号で停まった車に追い付いて、父親にむかって中学生は言った。
―こいつ、ガンば、飛ばしよったんですよ!
なおも、追ってくる自転車をふき切って飛ばす、カローラのGLサルーン。
小心者の父親と息子は、ショボーンとマラソンを見た。
―あ〜、瀬古やね。

気分を変えるため、帰りに大濠公園に立ち寄った。
移動販売車のおいちゃんが売っているやわらかいホットドックをかじる。
コッペパンに挟まれた、マヨネーズであえた千切りキャベツとソーセージは、すべての嫌なことを忘れさせてくれた。

 

写真1

 

なつかしくて行ってみたら、移動販売車がまだいた!んだけど、
販売はしてなかったので、なつかしのホットドックにはありつけなかった。
気をとり直して、スタバでコーヒーを飲む。
池を眺めていたら、ふと、橋のことが気になった。
橋はなんでストレートじゃなくて、アーチ型なんだ???

 

景色を輝かせるもの_02

 

歩いて渡る人にとっては、水平の方が歩きやすいのに、意味ありげに盛り上がっている。
調べてみると、橋のアーチ形状は、ロープや電線の両端を持って垂らしたときにできるカテナリー曲線と呼ばれるものを、上下逆向きにした形状だった。
この形にすることで、全ての部材には垂直方向の力しか加わらず、水平方向の力がなくなる為、力学的に安定するらしい。

カテナリーの名前の語源は「鎖、絆」を意味する【catena】というラテン語で、命名はホイヘンスによる。

スペインの建築家ガウディは、積み上げた石を接着せずに、その自重だけでも崩れない構造の建物を作ろうと、自分で製作した「逆さ吊り模型」を使って、カテナリー曲線を応用することにより、余計な柱やつっかえ棒を使わずに、天井が高くて広い空間を構築することに成功した、とのこと。

へ〜、なるほどねー。

ふだん、うっとおしく感じる近所の電線を、上下逆さに見てみる。
いくつものカテナリー曲線が、綿がしのような雲をやさしく包んで、いい感じ。

 

写真3

 

なんだか、腹が減ってきたので、スタバでホットドックを買う。
ホットドックの赤いソーセージの曲がりが、カテナリー曲線のように見えた。

大切なのは、知識を増やして人生を楽しむこと。(全然できてないけど)

※この話は一部フィクションです。
(スタバにホットドックは売っていません)




末松淳一


1971年に生まれてから、ずっと博多在住。
電機メーカー勤務で、趣味は読書。
愛読書は「かもめのジョナサン」
大切なのは、固有名詞。