2016.1.25 景観計画をもってまちに出よう 
暮らしの景観

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今回は、「住宅地の景観」を訪ねてみました。

住宅地の景観と一言で言っても、戸建住宅地、中高層の集合住宅、大規模住宅団地など、住宅地の形態によって様々な景観があります。

また、都心部に近い場所から、田園部に近い場所では、高層高密度の景観から緑やゆとりのある景観など、立地によっても様々な住宅地景観があります。

 

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住宅地景観は、景観計画のゾーンの中では、概ね「市街地ゾーン」に包括される景観です。

「市街地ゾーン」は、まちの連続性や隣接地や周辺のまちなみに調和するよう配慮することが作法として書かれています。

人々の暮らしそのものが景観という考え方に基づくと、もっともまちの雰囲気を作っている場所かもしれません。

 

数ある住宅地景観の中でも、今回は、私の原風景の一つである大規模住宅団地に行ってみました。

私は、中学生のころまで、広島市内の大きな市営の住宅団地に住んでいました。

その団地は、昭和30年代後半頃に開発された団地です。

当時は、同じ年代の子どもが大勢いて、団地の回りを走り回り、子どもたちのにぎやかな声が響きわたり、階段室の前では、毎日のように母親たちの井戸端会議があっていたのを記憶しています。それが私の住宅地の原風景です。その団地も、およそ半世紀を経て、現在は、高齢化率が38%となっているようです。

 

福岡市の住宅団地も、近年、高齢化が進んでいます。今回、訪ねた団地は、私の原風景に近い、昭和40年代ころに開発された団地です。この団地でも、一人暮らしの高齢者がお住まいの世帯も増えてきて、外出もままならないという話を聞きました。

 

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そんな静かな団地をあるいていると、最近見られなくなった景観があることに気づきました。

それは、団地のベランダで布団を干す景観です。

私が子どものころは、晴れた日には、ベランダに一斉に布団を干し、昼過ぎ、取り込みの時間には、上下左右から、パンパン布団をたたく音がしていました。

 

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高齢化が進む中、布団を干すことができないという話も聞きます。また、排気ガスやPM2.5なども影響しているのでしょうか?

10数年前になりますが、ある自治体の景観形成基準(景観の作法)検討する仕事に関わった時、「景観上、集合住宅のバルコニーに布団を干してよいか?」という議論になりました。

晴れた日には、ベランダに布団を干して、パンパンパンパンしていた様子が、原風景であった私は、集合住宅は、一人ひとりの暮らしが詰まっている空間で、その中で、暮らしの中の行為の一つである「布団干し」が制限されるなんて、ありえないだろうと思っていました。一方で、布団を干すことよりも、建物全体の美観を大切にする必要があるとも思っていました。

最終的には、高層化する建築物で、布団の落下の危険性という安全性の確保の面から制限がかかりました。人々の暮らしや価値観の変化に伴い、都市景観に対する考えかたも少しづつ変化をしているという一つの出来事でした。

今回は、少しなつかしい団地を歩きましたが、福岡市には、シーサイドももち地区、アイランドシティ香椎照葉地区などの新しい住宅地景観があります。この地区は、都市景観形成地区に指定され、地区の個性を創出していくために、より詳細な基準を設けています。

 

<都市景観形成地区について>

http://www.city.fukuoka.lg.jp/jutaku-toshi/toshikeikan/keikan_plan/area.html

 

この基準を持って、都市景観形成地区を歩いてみると、そこに暮らす人たちが、何を大切にしようとしているかが伝わってきます。

少し、暖かくなったら出かけてみませんか?

 

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矢舖雅史


広島県の瀬戸内海に浮かぶ島に祖を持つ。東京で都市計画コンサルタントに勤務し、様々なマスタープランの策定に関わる。福岡市に異動後、市民参加のまちづくりを経験し、現在は、ボランティアセンターの職員として勤務。