2016.1.18 よしなし-ごと 2
さあ行くんだ、その顔を上げて。

今回は、第1回で予告したとおり“新幹線と景観”の関係について、
考えてみたいと思います。
いきなりですが、
みなさん「新幹線」って、ご存知ですか?

新幹線は、1964年(昭和39年)10月10日に、
東京−新大阪間で開業した夢の超特急で、
山陽(1972年)・東北と上越(1982年)、
そして、九州(2004年)・北陸(2015年)と、
現在では、日本全国にそのネットワークが広がっています。
従来の鉄道には無かった“時速200キロ超のスピード感!”
そして、踏切が一切ない“専用の高速路線を走る!”という2つの点で、
(在来線を走る「ミニ新幹線」もありますが、個人的には認めんです。)
新幹線は、ほかの何ものにも代えがたい「独特の立ち位置」を持っていると、
言えるのではないでしょうか!?

「独特の立ち位置」……。

それは、単に「快適でスピーディーな交通手段」としてはもちろんですが、

政治家の皆さんが必死になって頑張っている
「地域づくりのコンテンツ」としてだったり、

開業から数十年を経た今でも、死亡事故ゼロを維持している
「国としてのプライド」だったり。
そして少々強引ですが、
すっごいスピードで街を通り過ぎていく「景観を眺める装置」としても、

これって、独特の存在だよなと思わずにいられません。

 

shinkansen

新幹線N700系「さくら」。薄い水色がカッコイイ!

なぜに思ってしまったか…。
それは、僕の幼少時代の記憶にあります。

トキは、80年代前半(3歳ころから中学校に入るまでの期間)。
私の夏の決まりごとといえば、
祖母に連れられていく親戚の家までの冒険。
博多−新大阪間の新幹線の旅でした。

今思えば、未就学児(幼児・乳児)無料という
国鉄の料金設定を巧みに利用した、
うるさい子どもの厄介払いだったのでしょうが、

その後、30年超を経た今でも、鮮やかな記憶として残っていることからも、
ナカムラ少年に与えた影響って、かなりのものがあったのだと思います。
小学校に入学する頃には、
山陽新幹線の駅名をすべて暗記し読み上げていたと、
祖母が生前、よく自慢しておりました(祖母的には、もはや神童です)。

100キロを超えるスピードでビュッと来て、
何分か駅に停まってビュッと立ち去る。

それを何度か繰り返すと新大阪の駅に着いてしまうのですが、
その都市(駅)ごとのちょっとした違いが、
少年にとっては、たまらなくワクワクする“景観”なのでありました。

工場がたくさんあるから「徳山」だとか、
山の中に入ったから「岩国」じゃないかとか。
平野になってビルが多いから「広島(岡山も)」だなあとか。

産業やら自然やら、それぞれの土地風土やら。
もちろん、子どもならではの勝手な解釈がほとんどですが、
一瞬で切り替わる景色だからこそ、
眼に映る現実にも、それらの空気感にさえも、
各都市の差異を見つけていたように思います。

唐突ですが、「シムシティ」というゲームがありますが、
その楽しみ方の感覚って、なんだか似ている気がします。
んで「シムシティ」(※)って、ご存知ですか?

※シムシティ:日本では1990年の発売。プレイヤーが市長となって、市民が住む街を繁栄させていくシュミレーションゲーム

 

そんな、都市を都市と意識し始める子どもの時代に、

ナカムラ少年の心にグサっと刺さったのが、
まちのど真ん中にデンと鎮座する「お城」の存在です。

極端に言うと、お城がない町なんて眼中にない…。
というくらいに、
最終的には「お城男子」が、出来上がってしまったのでした。

車窓から見えるお城は、

川の向こうだったり、ビルの隙間だったり。
どこのどいつも、一瞬の刹那な出会いなのですが、
なんだか、その町のことが手に取るようにわかったような…。
そんな気がしたものです。

まちを見下ろすように、高いところを走る専用の高速路線。
そして、まちの音を遮断する、高い機密性の窓。

まるで新幹線って、
都市の雑踏を「高みの見物」してるような感じすらあります。

博多を出ると、小倉、岩国、広島、福山、そして姫路。
少年の中で評価すべき都市は、山陽路では上記のとおりです。

ということで、
先日、大阪に出張した際に、
少年時代を思い出して、「お城」を探してみました。
想像とぜんぜん違っていたり、
ビルが増えて見えにくくなっていたり。
当時の神童も、今ではただのオッさんなのですね…。

岩国なんて、行きも帰りも見つけられませんでしたし。
それでは、
見逃さないように。西から順に行きますよ。

 

kokura

小倉城 / 復元するときに、元がカッコ悪いからといって、勝手に“現代風”にアレンジ。

 

hiroshima

広島城 / 毛利氏の居城は、黒くって凛としています。木造で残っていましたが、残念ながら原爆で焼失。

 

fukuyama

福山城 / 駅に一番近いというのがウリです! フォルムはなんだか、デブっとしてますが…。

 

okayama

岡山城 / 川沿いにカラスみたいに黒いお姿。視力が良くないとまったく見えませんね…

 

himeji

姫路城 / 国宝。おそらく全国ナンバーワンの人気です。最近、真っ白けに生まれ変わりました。

 

前回から振り返ってみると、

歩いて見える景観から →自転車 →車 →そして新幹線と、
見る側の移動スピードが、早くなっていくに連れ、
認識できる景観も「点」から「線」、そして「面」へと
次第に広がっていってる感があります。
当然のことながら、もっと加速して飛行機までなると、
もうなんというか「地図」みたいに見えちゃいますからね…。

びっくりポン!です。

 

kusatsu

博多駅上空 / これだけ日常を離れると、景観とは言わないのかもな…。「提供:福岡市」

 

残念ながら、少年時代の僕のシムシティは、
新大阪までの、それも新幹線駅周辺の街並み限定です。
みなさんにも、
東海道、東北、北陸。車窓から見える佇まいに、
その都市の景観を思ってみることをおススメいたします。
新幹線から見える街並み。
お城が見えれば、もお最高です。

わが九州新幹線では、僕のベストキャッスル。
「熊本城」もありますしね!

 

kumamoto

熊本城 /男らしいさまは、まさに九州人そのもの!難攻不落の軍事要塞ですたい!

 

ということで、
2回にわたって、見る側のスピードを速めながら、
「景観」のまったくのど素人が、勝手な持論を語ってみました。

まだ、何度かやってよいということなので、
今度はひとつ、立ち止まって
自分じゃなくて「対象のほうが動く景観」について、

考えてみましょうか…。
学論的にとか、意味がなくても勘弁です。

それでは、
続きのお話しは、次回の講釈で




中村 善輝


1973年生。福岡県福津市(旧津屋崎町) 出身。工務店の長男として生まれ、建築家への道を嘱望されるも、数学への苦手意識を克服できず挫折。憧れの女子の一言から大きく方向を転換し、人文学部フランス語学科に入学。その後、外国語も苦手だったことが判明し、迷子になる。