2016.1.12 景観室だより 
福岡市の都市景観の取組みについて

この『景観室だより』では、福岡市の景観形成に取り組む福岡市の取り組みを紹介します。第3回は、これまでの景観行政の取組みについてご説明させていただきます。

1、福岡市の概要
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図1 福岡市の位置

福岡市は、日本の西端、九州の北部に位置し、人口153 万人、市域面積は343.38k ㎡(2015.8.1 現在)あり、古来より、アジア大陸との交流窓口として、九州の交通・経済の中心拠点として発展を遂げてきました。

空港から、市の中心部まで地下鉄でわずか10分で行くことができ、中心部からほとんどの市内観光スポットにも20分以内で移動ができるなど、都心部を中心に海や山に囲まれ、空間的にまとまりのあるコンパクトな市街地が形成されています。


2、福岡市景観計画
2、1 福岡市景観計画の位置づけ

福岡市景観計画は、2004 年に制定された景観法に基づく法定計画です。
福岡市は、日本で景観法ができる17 年前(1987年)に福岡市都市景観条例を定めるなど、先導的に都市景観行政の取り組みを行っています。福岡市景観計画では、福岡市都市景観条例で位置付けていた「福岡市都市景観形成基本計画」の理念や目標を引継ぐとともに、それらを実現するための具体的な景観形成方針、景観形成基準を示しています。

2、2 景観形成区域等

福岡市総合計画における基本的な考え方や都市計画マスタープランにおける将来の都市構造を基にした市域のゾーニングと照合し、他の関係計画等との連携を考慮して、全市の景観形成を図る区域(景観計画の区域)としています。
また、都心部、一般市街地、山の辺・田園、海 浜。港湾の5つのゾーンに分けそれぞれの地域特性に応じた景観形成を図ることとし、景観形成方針、景観形成基準を定めています。

2、3 色彩基準

表2 一般市街地・山の辺・田園・海浜
ゾーンの色彩基準

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表1 都心・港湾ゾーンの色彩基準

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景観計画では、5つのゾーン特性に応じた建築物及び工作物の外観の色彩基準を定めています。蛍光色を禁止し、色相、明度、彩度の三層性によるマンセル値により色彩基準を示しています。


3、良好な景観の形成に向けた取組み
3、1 届出・協議

大規模(建物の高さ>31m 又は延べ面積>10,000㎡)な建築物又は工作物の新築、増築や、外観を変更する修繕、色彩の変更等の行為について景観法の届出制度を活用し、良好な景観形成の誘導を図っています。

3、2 各種施策

(1)都市サイン整備
市民や来訪者が街を快適に移動できるよう統一したデザインによる都市サインの整備を行っています。

(2)彫刻のあるまちづくり
公共空間などに屋外彫刻の設置を進め、市民の誇りとなるような芸術性の高い都市空間の形成を行っています。

(3)市民意識高揚事業(都市景観賞)
市民や事業者の景観に対する意識を高めるため、福岡のまちの魅力を創り出している建物や通り、企画や活動に関係されている人たちの努力を称え、それを広く市民に伝えることを目的に、都市景観賞を創設しました。「大賞」の他、「建築部門」、「ランドスケープ部門」、「屋外広告部門」、「活動部門」、また、市民の投票で選ぶ「市民賞」もあり、市民参加型の賞として進めています。

(4)情報発信
福岡市の良好な景観や景観づくりの取組みについて、Web マガジン、FB(Facebook)を活用して、市民への情報発信を行っています。
その他、景観ガイドブック、パブリックアートガイドの発行、景観ガイドツアーなども行っています。

(5)屋外広告物許認可制度
屋外広告物も良好な景観を形成する要素であること、また、公衆に対する気概を防止するため、屋外広告物条例を定め、屋外広告物の設置について、許可制にしています。

(6)公共空間掲出広告物デザイン審査
バスシェルターに掲出される広告、バスの車体を利用した広告(フルラッピングバス)など、道路上に掲出される屋外広告物は、公共空間の景観を形成する重要な要素であり、その質を向上させ優れたデザインの誘導を図る必要があることから、専門家等による「デザイン審査」を実施しています。

(7)地域団体の活動支援
地域住民の主体的な景観まちづくりの促進を図るため、景観づくり地域団体を認定し、活動助成を行っています。

(8)民間建築物修景助成
歴史的な街並みの形成に取り組んでいる「御供所地区」では、歴史的な建物の修理や修繕、その他の建物が新築や改築の際、歴史的な街並みに配慮した取組み(修景)を行う場合に、国の交付金を活用し、建設費の一部助成を行っています。

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(9)景観形成に資する建築物、公共施設等の指定
都市景観の形成上重要な価値がある建築物や道路等施設を指定し、将来にわたって良好な景観の形成・保全を図っています。

・景観形成建築物;15 件
・景観重要公共施設;道路1 件

4、今後の取組み
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図2 届出対象規模の見直しイメージ

福岡の財産である歴史的な建造物やその街並みは、福岡らしい魅力を創出しており未来に継承していく必要がありますが、開発ポテンシャルの高い都心部では、開発が進むことによって、周辺建築物と歴史資源の調和を確保することが難しくなっており課題となっています。歴史的景観やその佇まいなど、地区の特性に合ったきめ細やかな景観誘導を図るため、歴史資源等の周辺において、届出制度の建物高さや延べ床面積の規模を見直す取組みに着手しています。




正木康徳


昭和40年生まれ。福岡市住宅都市局都市づくり推進部都市景観室長
平成元年福岡市役所入庁/総務企画局東京事務所調整係長/教育委員会総務部企画係長/城南区役所企画振興課企画係長/経済振興局空港整備推進担当主査/こども未来局子育て支援課長を経て現職