2015.12.14 景観計画をもってまちに出よう 
都心の消えゆく景観、生まれ来る景観 

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景観計画ってご存知ですか?

もしかするとあまり馴染みのない計画かもしれませんが、私たちの暮らしの中に、割と密接な関係を持っている計画です。

福岡市景観計画は、福岡市の都市景観の将来像を描いた計画です。その中には、地域の特性を活かした景観の形成や保全・継承をしていくための方針、建物のデザインや壁面の位置、色の基準などが盛り込まれています。

つまり、まちの雰囲気をつくるための作法集と言ってもいいかもしれません。

このコラムでは、その「景観計画」を持ってまちに出かけよう!というのがコンセプトです。

景観計画という作法集を通してまちを見ることで、将来の姿を思い描いてみたり、まちの魅力がもっと見つかったり、まちなかで不思議に思っていたことが解決する糸口が見つかるかもしれません。

 

そして今回「都心の消えゆく景観、生まれ来る景観」

このコラムを書こうと思ったのは、facebookに掲載された一つの投稿からでした。

その投稿には、長年市民に親しまれた小さな中華料理店が、近く市街地再開発で閉店になると書かれてあり、閉店を惜しむたくさんの客が連日訪れているとのことでした。

料理の味を、主人とのやりとりを、横丁の雰囲気を、五感を駆使して記憶に刻もうとしていたのでしょうか?

この記事を読み、市街地再開発で消えゆく景観を少しでも記録に止めておこうと思い、この景観コラムに綴っています。

 

 

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そのお店がある界隈は、景観計画の中で、「都心ゾーン」という区域に入っています。この区域では、特に商業的な賑わいを創出するために、低層部でのショーウィンドウによる演出、オープンスペースの確保、夜間の照明も、歩行者空間に賑わいをもたらすものなどとしています。

さらにこの区域は、天神(明治通り・渡辺通り)地区都市景観形成地区に指定され、都心にふさわしい、時代の変化に耐えうる質の高い都市景観の形成を図るための、細やかな基準を設定しています。

 

そんな景観形成方針を持っている場所ですが、一歩裏路地に入ると、今風のおしゃれな天神とは違う焼き鳥屋、喫茶店やもつ鍋屋などのお店が並んでいる昭和の天神の姿があります。ここに来ると、昭和50年代後半、私が初めて福岡に来たころの時代にタイムスリップし、懐かしさと、妙な安心感を感じています。

 

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明治通り沿いに出てみると、再開発を前にすでに駐車場となっている場所がありました。道路に面していた建物がとりこわされ、長い間、市民の目に触れることのなかったビルの裏側、昭和30年代、福ビルや天神ビルが出現し、天神界隈の景観が大きく変わった頃のまちなみが顔を出していました。

 

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駐車場になる前、この場所にどんな建物があったかは、もう思い出せません。今、残されているこの界隈も近いうちに消えていきます。ここで営まれてきたなりわいや文化も、この景観とともに消えていくのでしょうか?

福岡の都心部は、多くのビルが更新時期を迎えています。何年か後には、この界隈は、景観計画を踏まえた、新しく魅力的な景観が生まれ来ることでしょう。

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消えゆく景観、生まれ来る景観といえば、私がはじめて福岡に来たころ、天神ファイブという情報プラザの跡地に、「イムズ」が建築されました。平成元年のことでした、当時、金色に輝く外装タイルの建物が天神のまんなかに出現し、福岡の都心景観に大きなインパクトを与えたことに、大変な衝撃を受けたのを覚えています。

当時、斬新さにトガっていた建物が、年月を経てまるくなって、天神周辺の景観の変遷を語りかけてくれました。

都市景観は、長い時間のサイクルで変化をしていきます。その変化を誘導する方針が、景観計画の中に記されています。景観形成方針を、たくましい想像力で、読み解いていくと、将来の天神界隈の姿が浮かんでくるかもしれません。

みなさんも、景観計画を持って、普段と違った目線で、都市景観を見てみませんか?

次回は、景観計画をもって、「住宅地の景観」を探しに行きたいと思います。

 

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矢舖雅史


広島県の瀬戸内海に浮かぶ島に祖を持つ。東京で都市計画コンサルタントに勤務し、様々なマスタープランの策定に関わる。福岡市に異動後、市民参加のまちづくりを経験し、現在は、ボランティアセンターの職員として勤務。