2015.11.28 景観の作法 
建築といきものとの関係

うちの事務所の近所には白い大きな猫が少し古い住宅に住んでいて、子猫と寄り添う姿が忙しい毎日にホッとした時間を与えてくれます。

博多の町中、回りは高層建築が建ち並ぶこの地域にも人と寄り添いながら生きる命があります。少し目線を彼らに替えてお付き合い下さい。

 

挿絵1

 

寄り添う白い猫はもう長いことこの町に住んでいます。子猫の体をなめてあげながらこの町の事を教えているようにも見えてきます。

「最近ビルとビルの間が広くなって散歩が楽しいよ、そして公園が色んなところに出来て居眠りするのも安全だ、まあ砂場が無くなったのは仕方ないが。建物が高くなったので昔みたいに屋根の上で空を見上げる事は無くなったとはいえ、一時代に比べると日差しがよく当たり建物が高いわりには空がよく見える。友達の小鳥はこうも言う、今は電線が少なくなって自由に飛べる。上から見ていると緑も多い、これも近年の都市計画というものだろう。」

彼らもまたこの町を見ている地域の住人、彼らにとっても町の計画は重要なものです。

建築の法律が改正を重ね建物本体と共に街・地区での居住性や調和性を考えるように進化しているのです。

またある法律を適応するとある法律の緩和、すなわち特例を受けられるようになりました。建物を建てる時敷地に余裕を持たせるとその分高く建てられたり、空がいっぱい見えるようにすると全体面積を広く建てられたりと。実によく考えられています。

 

挿絵2

 

人の大きさの感覚で言うと、彼らは約1/10~1/100くらいの大きさなので、平屋の建物が10階~100階建てに相当することでしょう。街中は10階建て以上、となるとドバイの超高層ビルの間を見上げながら生活しているようなもの、もっと言うと映画の中の未来都市のようなもの。そう考えると実に視点が変わります。人は文明の進化に慣れてきました。しかし彼らはどうでしょうか。彼らの居場所を作ることも町づくりというものだと思います。人にしか町を作る事は出来ない事を皆さん少しだけやさしく思ってみて下さい。

人にとって良い環境は昔から共存する地域の住人にとって全てがよいとは言えないでしょうが、随分人も町もやさしくなりました。

渡り鳥の為の池…水草などを生育させて餌を育てる。

川魚の住める護岸…コンクリート製の下地に大きめの石や岩で仕上げ自然の川底を再現する。

などと土木建設の観点からも進んだ考え方が一般的になってきました。

建築の考え方も屋上緑化、壁面緑化をはじめとする自然との共存は省エネルギーの点からもよく採用されます。

建築は単体で機能するよう考えられています。しかし近年はその単体での機能はもちろん地域社会との関係性、そして環境との取組方も考えられるようになってきました。

その中に猫の目を

その中に鳥の目を

町に共存する生き物たちの目を

取り入れて考えるのも未来の都市の姿だと思います。

 

「あっ、私の車に鳥の糞が・・・」

「まぁ、シートでもしますかね、少し早起きしてシート取り外せばいいか・・・」

 

建物といきものとの関係。

難しいけれど未来はその方がいい感じがします。




寿久佐々木


一級建築士・管理建築士
1988.05 ヤマトマネキン環境開発本部
1998.10 設計事務所
2000.11 佐々木設計室 設立
2008.11 アートレ建築空間 一級建築士事務所 設立