2015.11.24 くらしのにおい 
「みちの樹、まちの樹」

秋になると筑肥新道は街路樹であるイチョウが銀杏を大量に落す、通勤路だった歩道は臭い匂いで充満する。

秋を感じると共に、なんでこんなに雌木を植えたのだろう?と、不思議におもう。

よっぽど、銀杏拾いをしたい担当者がいたのであろうか?

臭いということは、においがすると言う事!今回の「くらしのにおい」は街路樹について考えてみたい。

 

福岡で最も多い街路樹(高木)の樹種は何か?

 

それは、「ホルトノキ」らしい、次いで「ケヤキ」「イチョウ」と続くのだが、、、

個人的に「クロガネモチ」が一番多いように感じるから不思議である。きっと福岡市の「まちのき」がクロガネモチである事と中木である「トウネズミモチ」や「ネズミモチ」も街路樹に使われているせいであろう。(実がなって無いと見分けがつきにくい)

「苦労の末に金持ちになると言われる樹」で住宅に植えやすい益樹なのだが、植えようとすると「苦労をせずに金持ちになりたい」と、クライアントから耳の痛い台詞を聞く、とりあえず「マンリョウ」でも植えましょうがだいぶ板についた。

 

では「ホルトノキ」ってどんな樹か?僕のイメージでは「公園の樹」って感じで、ヤマモモと月桂樹を混ぜたような印象である。木登りやツリーハウスが作りやすそうな枝振りで、葉っぱの一部が赤い色になるオリーブのような緑色の実がなるのも特徴的だ。そもそも、ポルトガルの木という意味からの派生で、(エレキテル発明の)平賀源内がオリーブと間違えて名付けた説もある。「明治通り」や「清川通り」に「クロガネモチ」と交互に植えてあったりする。

 

第2位の「ケヤキ」は福岡市都市景観賞も受賞した「国体道路」の「ケヤキ通り」が有名だが、東区にある香椎宮の参道も歴史ある見事な「ケヤキ通り」なのである。

そもそも、「国体道路」の一部が「ケヤキ通り」なのだが、昭和23年開催の第3回国民体育大会の際に整備されたのがケヤキの街路樹だとすると「みちのき」が「まちのき」に変わった良い例だと思う。この要因は、電柱の地下埋設化のお陰でもあろう「悲しい電柱の末路」が景観育成に役立っているのである。

 

 

けやき通り

けやき通り:景観賞も受賞してます!(提供:福岡市)

 

 

「プラタナス通り」や「白樺通り」など通りの名称となった有名な樹々もあるし、福岡市では「大楠」や「桧原」「梅光園」など地名になっている樹々も存在する。

 

個人的に好きな街路樹は春の「ソメイヨシノ」で舞鶴公園の横の「城内」や「梅光園団地」「山王公園」付近などは、桃色のトンネルの桜吹雪の中を抜けるイメージである。

 

また、「白金大宮通り」はシダレヤナギの街路樹が植えてある。柳川や久留米など水路が多い所では柳の街路樹が多いのは、カエルが飛びつく為なのだろうか?乾燥にも強い樹種なので水辺に植える必要は無いみたいだけどパターンって怖い!

 

そして、もっともパターンから逸脱しているのが、大博通りの中央分離帯の「ヤシの木」(正確にはワシントニアパーム)だ!歩道の街路樹は、「ケヤキ」だったり「クロガネモチ」なのだが、南国ムードバッチリと言わんばかりの景観は、あきらかに南九州(鹿児島、宮崎)のにおいがする。やはり、8車線もの広い道路幅員に負けないボリュームが欲しかったのかなぁ? 携わった人がいたら教えて下さい。

 

 

大博通り:ワシントニアパームの存在感とリズムが印象的

大博通り:ワシントニアパームの存在感とリズムが印象的

 

そう考えると、街路樹がつくる都市景観の要素は、道路幅員と遊歩道、中央分離帯での、樹形によった断面構造の連続なのだということがわかって来る。その中を一定のスピードで移動するとまちの印象ができ、通りを曲がると印象が変わる。

 

 

街路樹断面

 

 

この季節になると、落葉樹は一斉に紅葉を迎え都市景観が一層華やかに見える「トウカエデ」や「アメリカフウ」「ナンキンハゼ」「イチョウ」などが色づく通りを移動するのは、楽しいものだ。

 

 

福大通り:紅葉したモミジバフウがならぶ

福大通り:紅葉したモミジバフウがならぶ

 

 

街路樹の紅葉は、周りの環境や陽当たりによって随分と違いが出る事をお気づきだろうか、

紅葉自体、葉っぱの老化現象みたいなものだ(そういえば僕も最近白髪が増えた、頭も薄くなった)

簡単に言うと葉っぱのクロロフィルが分解され、アントシアニン(赤)やカロテノイド(黄)などの色素が目に入る。

個体差はあるが、クロロフィルは光合成を行なう程分解されるとしたら、陽当たりが良い場所程、紅葉が早いのも頷ける。また、日陰による生育差が発生し、周囲より小さい樹木もある。

 

 

昭和通り:イチョウの紅葉や生育に差が見られる

昭和通り:イチョウの紅葉や生育に差が見られる

 

紅葉した街路樹は都市の形態を反映する!(何かカッコイイ!!)

 

言い換えると

「みちのき」は季節を巡って、都市のかたちを映し出す「まちのき」になってゆく

 

カッコつけた所で問題です! 今回文章中に何種類の樹木名を書いたでしょうか?

 

おがたまのき たかひろ




ogata


建築家、NPO法人九州コミュニティ研究所 副理事長、日本キチ学会代表、九州産業大学非常勤講師。
著書:「秘密基地のつくり方」(2012)