建築賞
森のおうち保育園



丘陵地の閑静な住宅地の中にある保育園は、できるだけ土地の自然環境と共存しながら、子どもたちの遊び場となるような園舎を作るように計画されている。傾斜地で一般な造成はせずに、当初より敷地内にあった大樹をできるだけそのまま残し、敷地の傾斜もほぼそのまま利用する形で、建物を慎重に配置している。建築の計画も屋内外が一体的かつ有機的に連続していて、保育室からスロープとなっている外廊下を経て園庭までが一体化した空間となっている。子供たちは、自然の野山を使って生活するのと同じように、この変化に富んだ空間を思い思いに使っていることだろう。こうした空間を実現するために、木造の柱は森の中のように不規則に配置され、場所によって床や天井の高さも様々に変化する。ほとんど直角のない複雑な空間を作り上げるには多くの苦労が伴っただろうが、その細やかな努力がこの建築の魅力を高めている。屋根や窓の表現も細かく分節されて大きな木陰に隠れており、戸建て住宅地の中の小公園のような印象で、その存在感を消している。この保育園の存在は、時を経てここで育つ子供たちの記憶に残り、この街に欠かせない風景の一部となることだろう。
所有者 社会福祉法人レムニスカート
設計者 株式会社環・設計工房
施工者 株式会社中尾工務店